前半戦総括。小川泰弘、菅野智之、則本昂大...
ルーキー投手が「大豊作」なワケ

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Nikkan sports

セ・リーグハーラートップの10勝を挙げているヤクルトの小川泰弘セ・リーグハーラートップの10勝を挙げているヤクルトの小川泰弘 まもなくプロ野球前半戦が終了する。あらためて前半戦を振り返ってみると、セ・リーグは巨人が72年ぶりの開幕7連勝を達成するなど磐石の戦いで首位を快走すれば、パ・リーグは楽天が球団史上初となる前半首位ターンを決めた。そして個人に目を向ければ、二刀流挑戦の大谷翔平(日本ハム)や、セ・リーグハーラートップの小川泰弘(ヤクルト)といったルーキーたちの活躍が目立つ。なかでも貴重な戦力としてチームに貢献しているのがルーキーの投手たちだ。7月16日現在、一軍登板を果たし、1勝以上挙げたルーキーたちの成績は以下の通り。

小川泰弘(ヤクルト)...15試合/10勝2敗、防御率2.62
菅野智之(巨人)...16試合/8勝2敗、防御率2.79
則本昂大(楽天)...17試合/8勝6敗、防御率3.26
藤浪晋太郎(阪神)...13試合/6勝3敗、防御率2.86
三嶋一輝(横浜DeNA)...23試合/3勝5敗、防御率3.93
松葉貴大(オリックス)...9試合/3勝4敗、防御率4.47
井納翔一(横浜DeNA)...13試合/2勝6敗、防御率6.47
鍵谷陽平(日本ハム)...30試合/2勝1敗1セーブ、防御率3.16
大谷翔平(日本ハム)...5試合/2勝0敗、防御率4.21
江村将也(ヤクルト)...18試合/2勝0敗、防御率3.00
松永昂大(ロッテ)...38試合/1勝1敗、防御率1.75
石山泰稚(ヤクルト)...30試合/1勝1敗、防御率2.97
森本将大(オリックス)...14試合/1勝0敗、防御率5.52
増田達至(西武)...13試合/1勝1敗、防御率1.23
井上公志(中日)...9試合/1勝1敗、防御率2.25

 15人の勝利数を合計すると51勝になる。これまでのルーキーのシーズン勝利数合計の最多は、巨人の上原浩治(20勝)と西武の松坂大輔(16勝)がそれぞれ最多勝を獲得した1999年の89勝。つまり、その時を上回るペースで勝ち星を積み重ねていることになる。

 そもそも、彼らの活躍をどれぐらいの人たちが予想していたのか。セ・リーグ某球団のスカウトは次のように語る。

「昨年のドラフトで7球団が大学、社会人の投手を1位指名したように、どの球団も即戦力としての期待はあったと思います。その中でも、菅野は抜けた存在でした。1年浪人した影響がどこまであるかなと思っていましたが、実力的には10勝は間違いないだろうと。それに藤浪も、高卒1年目ですがプロで勝てるだけのボールを投げていましたし、2ケタとまではいかないまでもそれに近い数字は残すだろうと思っていました。ただ失礼ながら、想像をはるかに超える活躍をしたのが小川です。大学時代はリーグ戦通算36勝3敗、防御率は0点台と抜群の成績を残していたのですが、プロでどこまで通用するのかなと......。気になっていたのは、体力面。170センチちょっとの身長であれだけ体全体を使って投げると、スタミナの問題や故障の心配もある。もちろん、ローテーションに入ればある程度は勝つだろうと思っていましたが、まさかあれだけの活躍をするとは、正直、思っていませんでした」

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