2013.05.17

西岡剛がタイガースにもたらした「化学反応」

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

キャプテンの鳥谷敬と積極的に意見を交わす西岡剛 西岡剛が阪神タイガースに"化学反応"を起こしている。3安打2打点の活躍でヒーローインタビューを受けた開幕戦から? 打率.462と打ちまくったオープン戦から? いや、違う。2月1日のキャンプ初日から、それはすでに始まっていた。

 8年ぶりの優勝を目指す和田阪神が始動した日。練習メニューの最初にあったランニングで、西岡はキャプテンの鳥谷敬らとともに隊列の先頭に立った。移籍選手がなかなかできることではない。虎一筋22年目のベテラン・桧山進次郎は「チームに溶け込もうという意識の表れだったと思う。そういう姿がチーム内に相乗効果をもたらしたんじゃないかな」と言った。

 シートノックでは大きな声を出し、練習の合間には先輩、後輩を問わず"イジる"ことで、キャンプを盛り上げた。もちろん、バットを振るのもボールを追うのも全力。練習に取り組む姿勢でも、自然とチームを鼓舞していたように思う。

 実戦が始まると、西岡の存在感はますます大きくなった。2月13日の紅白戦(宜野座)では、第1打席の初球を三塁線へ絶妙なセーフティーバント。日本球界復帰のあいさつ代わりとばかりに"くせ者"ぶりを発揮すると、オープン戦でもヒットを量産し、走塁でも何度も見る者をうならせた。

 和田豊監督が「あれを待っていた」と絶賛したのは、3月7日の千葉ロッテとのオープン戦(甲子園)で見せた走塁だ。1点を追う初回の攻撃。ヒットで出塁した西岡は、続く大和の右前打で一気に三塁を陥れた。やや詰まった打球は、右翼手が捕れるかどうか微妙な当たり。しかし西岡は、迷うことなく二塁を蹴った。「ノーアウトで無難に行きたいところなのに、瞬時に判断したね。あれが今季やろうとしている走塁。見ている選手も『これだ!』と思ってくれたと思う」と和田監督。大和が二盗を決め、一死後、4番・新井良太の適時打で逆転に成功したことで、西岡の走塁はさらに価値を増した。

「塁に出れば、外野の守備位置と風を常に見ているので。打った瞬間に打球判断をしっかりできましたね」