【プロ野球】3年ぶり日本一。
巨人の底力を見た「シリーズ第5戦」

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

日本ハムを4勝2敗で下し、3年ぶりの日本一に輝いた巨人日本ハムを4勝2敗で下し、3年ぶりの日本一に輝いた巨人 日本シリーズでジャイアンツがファイターズを4勝2敗で下し、3年ぶりの覇権を手にした。阿部慎之助の負傷や、疑惑の判定による危険球退場などの予測不能の事態も起き、また1点差ゲームが3試合と見どころの多いシリーズだった。ひとつ間違えれば逆の結果も十分考えられた展開の中で、シリーズの行方を分けたのはどのシーンだったのか。

 シリーズ2戦目ではテレビ解説も務めたドラゴンズの山﨑武司は、「第5戦をジャイアンツが勝利したことがシリーズを決定づけた」という。

「あの試合をファイターズが取って王手をかけていれば、その後の試合は東京ドームで行なうとはいえ、ジャイアンツはかなり苦しかったはずです。内海(哲也)を使ってしまい、残る先発陣の顔ぶれをみても、武田勝、ウルフのファイターズよりも劣る。それに札幌でサヨナラ勝ちを含む3連勝の勢いをさらに膨らませて東京に来る。ジャイアンツが一気に押し切られることも十分に考えられた」

 同じく5戦目が分かれ目だったというのは、ベイスターズ、マリーンズなどでコーチ経験のある高橋雅裕氏だ。

「ジャイアンツはエドガー、加藤(健)と、ふたりをシリーズ初スタメンで起用した。阿部が欠場し、打線の力は圧倒的に落ちる。でも、その打線が相手エースの吉川(光夫)を打ち崩した。エドガー、加藤の起用は戦術的なものというよりも開き直りのようなところがあったと思うんです。それでも普段通りの試合ができたところに、ジャイアンツの層の厚さを感じました。ファイターズからしてみれば、エースを立て、万全の状態で臨んだ試合。それを落としたショックは大きかったと思います」

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