【プロ野球】9失点の理由。室内ブルペンの落とし穴にハマッた斎藤佑樹 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Nikkan sports

 ところが、である。

 2つめの黒星を喫したゲームが終わって小一時間ほどした頃、斎藤はもう次を見据えていた。久しぶりにビッグイニング(1イニングに大量失点を喫する)の感覚を味わえたのもいい勉強だったと、悪夢のような出来事を前向きに捉えていたというのである。

 これも、斎藤佑樹の武器だと思う。

 向かい風が吹いても、サッとその風に背中を向けて、追い風に変える能力──。

 つまり、考え方ひとつで向かい風も背中を押してくれる、ということだ。

 去年、ケガで投げるチャンスがなかった交流戦。ファイターズのローテーションから八木智哉が外れ、多田野数人も抹消された。4人で回すローテーションの軸は、変わらず斎藤である。彼はまず19日の土曜日、広島で行なわれるカープとの一戦に先発する予定だ。順当にいけば、カープのルーキー、野村祐輔との投げ合いになる。1学年下とはいえ、東京六大学では早稲田大と明治大のエースとして凌ぎを削った間柄。アイツには負けられない──野村というのは、斎藤がハッキリそう口にできる、数少ない存在だ。

 向かい風を、追い風に変えられる。

 新たな刺激を、成長の種にできる。

 そんな斎藤佑樹だからこそ、まだまだ余白があり余っている気がしてならないのだ。


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