【プロ野球】9失点の理由。室内ブルペンの落とし穴にハマッた斎藤佑樹 (2ページ目)
ライオンズのトップバッター、栗山巧が左打席に入る。電光掲示板に掲げられた旗は、引きちぎられんばかりにはためいていた。ホームからセンター方向への強風は、バックスクリーン脇に置かれたテレビカメラを激しく揺らしていた。
斎藤が初球を投げる。
鶴岡が構えたアウトローとは逆に、インローにストレートが外れた。
2球目、またもアウトローを狙ったボールが、今度は高めに浮く。
これでツーボール、ノーストライク。
3球目、今度は真ん中低めに構えた鶴岡だったが、ストレートが暴れて栗山の懐(ふところ)を抉った。これでスリーボール、ノーストライク。
今シーズン、斎藤が初回、先頭バッターに3つめのボール球を投じたのは初めてのことだ。もちろん、ストレートのフォアボールは先頭バッターに限らず、今シーズン、ここまで一度も出したことがなかった。
しかし、4球目もストライクが入らない。
134キロが高めに浮いて、栗山をストレートのフォアボールで歩かせてしまう。
これが予兆だった。試合後の斎藤はこう言った。
「最初のフォアボールがすごく痛かった。自分の調子自体、悪くなかったのは確かですけど、最初のフォアボールは、4球連続で(ボール球が)いってしまったので......」
斎藤は、ここでいったん言葉を切った。
そして長い沈黙の末、振り絞った言葉がこれだ。
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