【プロ野球】将来のエースと4番の台頭で戦いに変化。
横浜DeNAの未来は明るい!?

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

5月3日の中日戦で山本昌から2打席連続本塁打を放った筒香5月3日の中日戦で山本昌から2打席連続本塁打を放った筒香 5月に入り、中畑清監督率いる横浜DeNAベイスターズの調子が上向いている。3、4月は9勝18敗4分と苦戦していたものの、5月はここまで3勝2敗3分(5月10日現在)。成績だけでなく、試合内容にも明らかな変化が見られるようになってきた。

 特に5月4日の中日戦、8日の巨人戦は、敗色濃厚な状況に追い込まれながら、9回裏に追いついて引き分けに持ち込んだ。昨年までの横浜なら、劣勢に立たされるともろく、引き分けに持ち込むような執念や粘りを発揮することはほとんどなかった。

 中日戦後、中畑監督は「このパターンに持ち込まれたら終わりというセオリーをぶち壊すことができた」と喜びをあらわにし、巨人戦の後は「最後まであきらめない野球の原点を出せた。これがうちのモットー」と興奮気味にまくしたてた。

 この姿勢は選手たちにも表れ、敗戦が続いた4月の状況を鑑(かんが)みれば、例年通り早くも諦めに似た表情を浮かべてもおかしくはないのに、どの選手からも「負けて悔しい。勝ちたいです」と熱のこもった答えが返ってくる。プロとしては当り前の姿勢なのだが、誤解を恐れずに言えば昨年まで横浜の選手からはこのような強い感情を見てとることはできなかった。

 好調の要因を挙げるとすれば、まず打線に厚みが出てきたことだ。特にクリーンナップが固まってきたことが大きい。中畑監督が提唱する機動力を使った"せこいぜ野球"も中軸が決まってこそ効力を発揮するというものだ。

 中村紀洋は抜群の勝負強さを発揮し得点圏打率はリーグトップの.545で、ラミレスもようやく本来の実力を発揮しはじめた。また2008年に34本塁打を放ちながらも、その後は長いスランプに陥っていた吉村裕基もここにきて復活の兆しを見せている。そして将来の4番候補・筒香嘉智が5月3日の試合から復帰してチームの連敗を6で止める活躍をすると、6日の中日戦では山本昌から2打席連続本塁打を放ち、上昇機運を高めた。

 開幕前、中畑監督は筒香をクリーナップに加える構想だったが、キャンプ中に左くるぶしに死球を浴びて離脱。ようやく帰ってきた希望の星に対し「筒香が新しい風を吹き込んでくれた。筒香が戻ってクリーンアップの形ができたし、チームが変わるきっかけになった」と、その存在感に信頼を寄せている。

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