【プロ野球】セ・リーグ予告先発導入で求められる客を呼べる投手の出現

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

昨年、セ・リーグ最多勝の内海哲也は予告先発の導入に、「ダミーの調整がなくなり、ガチンコ勝負になる」と語った昨年、セ・リーグ最多勝の内海哲也は予告先発の導入に、「ダミーの調整がなくなり、ガチンコ勝負になる」と語った パ・リーグの予告先発は1983年に開幕試合のみで実施され、87年から90年までは8月までの日曜日限定で行なわれていた。そこから全試合で実施されるようになったのは94年。

 当時の流れを簡単に振り返ると、前年の93年にFA制度と逆指名採用のドラフトが導入され、94年1月にパ・リーグのオーナー懇談会で議長の近鉄オーナー・上山善紀氏が、「セ・リーグに頭を下げてでも......」と1リーグ制への移行に言及。これはセ・リーグ側が静観して進展しなかったが、厳しい経営環境に置かれていたパ・リーグ各球団が、現状打破の一策としてファン拡大の期待を込めたのが、全試合での予告先発制だった。それから18年。セ・リーグもパ・リーグに追従する形で、今季から予告先発制の導入を決定した。

 ただ、セ・リーグは2年連続で観客減といっても、昨年も1179万2344人(前年比95.8%)を動員している。ちなみにパ・リーグは977万7852人で前年比99.4%。しかし、近年は観客動員トップの座を阪神に譲り、前年比でも横浜(91.1%)とほぼ同じダウン幅の巨人(91.6%)の人気低迷がイコールプロ野球人気低迷と拡大解釈されている向きも強い。

 長いプロ野球の歴史の中で、セ・パ合わせると最も観客が入っている時期でありながら、いま球界が抱える課題は選手の年俸高騰などで収支のバランスが取れなくなってきている点にある。そういった流れの中、セ・リーグの6球団もひとりでも多くのファンを獲得したいという思惑でまとまり、今回の試みとなった。
 
 では、予告先発の実際の効果はどうなのか。昨年、斎藤佑樹が札幌ドームで登板した試合(計11試合)を例に見てみる。プロ初登板となった4月17日(日)のロッテ戦の観衆は3万7863人。最多動員は5月1日(日)と7月17日(日)の西武戦で4万2063人。土曜、日曜中心の登板ではあったが、1試合平均の観客動員数は3万2311人となり、これは昨年の日本ハムのホームゲームの1試合平均2万7644人を大きく上回る。

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