【プロ野球】田中将大の3つの武器。
強い体とスライダー、もうひとつは?

  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

2年連続の沢村賞に挑む、楽天のエース・田中将大2年連続の沢村賞に挑む、楽天のエース・田中将大石山建一の『選手のみかた』~楽天・田中将大

 昨年、自己最多の19勝を挙げ、最多勝をはじめ、投手の最高栄誉である沢村賞など、数々のタイトルを手にした東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大。決して打線が強いとはいえない楽天で、これだけの成績を残したのは立派のひと言に尽きます。ダルビッシュ有が抜けた今、パ・リーグのみならず球界のエースとして彼にかかる期待は大きいでしょう。

 私が田中のピッチングをはじめて見たのは、彼が高校生の時でした。2年、3年と夏の甲子園決勝のマウンドに立ちましたが、その時の印象はとにかく高校生にしては体がしっかりしているなということでした。当時から背も高かったですが、それ以上に腰回りがしっかりして、体の強さを感じました。

 私は今も高校生を指導することがありますが、その時によく言うのが、「強い体を作りなさい」ということです。強い体とは、つまり故障しない体ということです。そのために実践してほしいことが3つあります。それが「いい食事」「いいトレーニング」「いい休養」です。栄養のバランスを考え、しっかりごはんを食べる。そうすることで、厳しい練習に耐えられる体を作ることができる。そしてトレーニングしたあとは、しっかりと体を休めて疲れをとる。これを繰り返すことで強い体が作られていくわけです。

 おそらく高校時代の田中も、このことをしっかりやっていたのでしょう。彼の体を見た時、これなら十分プロでやっていけると確信しました。つまり、プロの厳しい練習にもついていけるだろうと思ったんです。それぐらいのたくましさを感じました。高卒1年目というのは、まだ1年を通してプロでやっていく体になっていない選手がほとんどです。いくらいい球を投げても、まだ体ができていないためにケガの心配がついて回る。そうなると首脳陣も起用しづらくなる。でも田中にはそうした心配がなかった。だから、プロ1年目からローテーションを任せることができたわけです。

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