【プロ野球】2012年、「心技体」充実の中田翔に大活躍の予感 (2ページ目)
そしてプロに入ってからの中田を見たのが、2009年の11月に行なわれた26歳以下のNPB選抜と大学選抜の試合でした。その時、久しぶりに中田のバッティングを見たのですが、正直驚きました。彼の欠点であったドアスイングは見事に解消されているし、スイングスピードもものすごく速くなっている。その試合でNPBのコーチとしてベンチに入っていたオリックスの岡田彰布監督も、「本当にいい打ち方をしている。パワーもあるし、怖いバッターになる」と言っていました。私も、この打ち方ができるのなら、近い将来、チームの中心打者になると確信しました。
あとは経験をどのようにして積むかが問題でしたが、昨年143試合に出場し、プロ入りしてからはじめて規定打席に到達。本塁打も18本放ちました。まだ好不調の波はありますし、タイミングの取り方で苦労している時がありますが、好調時はどこに投げても打ちそうな雰囲気がある。インコースの打ち方など、高校時代とは比較にならないくらいのうまさがあります。
そして中田にとって最も大きなことは、オフに結婚をしたことだと思います。プロ野球の世界では結婚を機に飛躍する選手が結構います。家庭を持つことで責任感が生まれてくるのでしょう。それに彼の場合、お相手は高校時代の同級生と聞きました。これを聞いて、「本当にいい人をもらったな」と思いました。なぜなら、結果を出せずに苦労している時も知っているわけですよね。彼にとって彼女は、いちばんのよき理解者のはずです。とにかく野球だけに集中できる環境は整いました。「心技体」充実の中田に、大爆発の予感が漂います。
著者プロフィール
石山建一 (いしやま・けんいち)
1942年、静岡県生まれ。現役時代は静岡高、早稲田大、日本石油で活躍し、現役引退後は早稲田大、プリンスホテル、全日本の監督を務め、岡田彰布(現オリックス監督)、宮本慎也(ヤクルト)など、多くの名プレイヤーを育て上げた。95年には巨人に招聘され、編成本部長補佐兼二軍統括ディレクターに就任。現在は高校野球の指導や講演を中心に全国を飛び回っている。
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