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【プロ野球】2012年、「心技体」充実の中田翔に大活躍の予感

  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

昨シーズンは143試合に出場し、18本塁打を放った中田翔昨シーズンは143試合に出場し、18本塁打を放った中田翔石山建一『選手のみかた』~日本ハム・中田翔

 今シーズン、私が最も期待している選手が北海道日本ハムファイターズの中田翔です。並外れたパワーを持っていますし、バッティングにうまさが加わった。30本塁打を打つ力は十分持っていると思います。

 彼を最初に見たのは、2007年の春のセンバツです。ちょうどその頃、私は日本文理高校(新潟)を臨時で教えていまして、センバツ1回戦の相手が中田のいる大阪桐蔭だったんです。中田は超高校級の打者として注目されており、彼を抑えないことには試合にならないと思っていました。

 そこで弱点はないかビデオを見ていると、彼のスイングの欠点を見つけました。それはトップからインパクトにかけてバットが遠回りする、いわゆるドアスイングだったのです。ドアスイングはひじが伸びきった状態で打つためにバットに当たってもなかなか打球は飛びません。それにインコースはうまく捌(さば)けない。だからバッテリーには、「とにかくインコースを攻めろ」と言いました。

 試合は0-7で敗れたのですが、中田は3打数無安打(1死球)に抑えることができました。インコースを意識するあまり体が開いてしまい、外の変化球も打てなくなるという悪循環になっていました。だからインコースさえ意識させることができれば、それほど怖いバッターではないという印象を持ちました。とはいえ、高校生でそこまで厳しくインコースに攻められる投手もなかなかいない。そういうのもあって、高校時代は87本塁打も打てたと思うのですが、正直、プロに入ってから苦労するだろうなと思いました。

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著者プロフィール

  • 石山建一

    石山建一 (いしやま・けんいち)

    1942年、静岡県生まれ。現役時代は静岡高、早稲田大、日本石油で活躍し、現役引退後は早稲田大、プリンスホテル、全日本の監督を務め、岡田彰布(現オリックス監督)、宮本慎也(ヤクルト)など、多くの名プレイヤーを育て上げた。95年には巨人に招聘され、編成本部長補佐兼二軍統括ディレクターに就任。現在は高校野球の指導や講演を中心に全国を飛び回っている。

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