【MLB】大谷翔平とドジャースはどう進化する? ワールドシリーズ出場2チームが示す「新しいマネーボール」の衝撃と潮流 (3ページ目)
【大谷翔平&ドジャースの未来は?】
実はフリードマン自身、ブルワーズの野球を高く評価していた。リーグ優勝決定シリーズ開幕前の10月11日、ブルワーズのチーム編成について質問されると、選手層の厚さと、明白な弱点がないことを指摘した。そして「本塁打だけに頼っていては厳しい。彼らには勝つためのさまざまな方法がある」と語っていた。
しかし、相手の強さを理解することと、それを自分たちのチームで実現することは別である。今後はベテラン中心のチームをどう進化させるかという課題に向き合う。2連覇を実現したスター中心の編成を生かしながら、走塁や守備、選手の役割分担など、勝つための方法をさらに増やせるのか。次の一手が注目される。
そして、この問題は大谷翔平自身にも重なる。今季、故障を抱えながら二刀流で3連覇に挑んだ大谷は、ポストシーズンで本来の打撃を発揮できなかった。それでも、アトランタ・ブレーブスとの地区シリーズでは四球で出塁すると、積極的な走塁で三塁を陥れるなど、長打以外の方法で勝利に貢献しようとしていた。シーズン終了後、大谷は敗北に終わった今季について、自身の「引き出しが少なかった」と語った。投打で圧倒的な能力を持つ大谷だが、今後は身体の状態に応じて、勝利に貢献する方法をさらに増やしていくことも重要になるだろう。
来季は33歳。二刀流を続ける意欲は変わらないが、年齢とともに身体の条件も変わっていく。投打の負担をどう管理しながら、走塁や状況判断も含め、勝利に貢献する方法を増やしていくのか。ブルワーズとレイズが示しているのは、ひとつの突出した能力だけでなく、さまざまな能力を組み合わせることで、野球にはまだ新しい可能性が生まれるということだ。その考え方は、二刀流という前例のない挑戦を続ける大谷にとっても、重要なヒントになるのではないだろうか。
ブルワーズとレイズが争うワールドシリーズは、単なるスモールマーケット(小規模都市)の球団同士の対決ではない。走塁、守備、打撃、そして選手の能力の組み合わせ。野球の古くからの要素が、科学と組織の力によって新しい価値を持ち始めている。
ドジャースは、この変化にどう向き合うのか。そして大谷翔平は、二刀流という前例のない挑戦を、どのように進化させていくのか。その答えはまだわからない。だからこそ、今年のワールドシリーズが楽しみなのである。
著者プロフィール
奥田秀樹 (おくだ・ひでき)
1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。
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