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【MLB】大谷翔平とドジャースはどう進化する? ワールドシリーズ出場2チームが示す「新しいマネーボール」の衝撃と潮流 (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Hideki Okuda

【データ分析だけでは本質に迫れない現実】

 こうした取り組みは、ドジャースにとっても決して未知のものではない。今季、ドジャースで内野守備を担当したクリス・ウッドワード一塁コーチや外野守備を担当したディノ・イベル三塁コーチを取材するなかでも、走塁や守備の技術がデータ分析によって著しく進化していることを実感した。

 言うまでもなく、ドジャースもまた、科学を使って野球を進化させてきた球団である。しかし、ここにひとつの難しい問題がある。データによって効果的な動きがわかっていても、それを実践できるかどうかは選手の身体的な条件に左右されるからだ。

 ドジャースには30代の主力選手が多い。大谷翔平、フレディ・フリーマン、ムーキー・ベッツら、経験豊富なスター選手たちがチームを支えている。しかし、年齢を重ねれば、瞬発力や走力、守備範囲、疲労からの回復力には変化が生じる。無理に次の塁を狙えば、故障の危険も高まる。若く、機動力に優れた選手を多く抱えるチームと、ベテラン中心のチームでは、同じデータを使っても実行できる戦術が異なる。

 ドジャースがブルワーズのような野球をしなかったのは、単にロバーツ監督が動かなかったからではない。采配だけでなく、チーム編成そのものに目を向けなければ、問題の本質は見えてこない。

 そこで注目したいのが、アンドリュー・フリードマン編成本部長である。フリードマンは、かつてレイズの編成責任者として、限られた資金で強豪に対抗する球団運営を実践してきた。選手の隠れた能力を発見し、育成と分析を組み合わせる。現在のレイズにつながる組織の発展に大きく貢献した人物だ。2014年にドジャースへ移ると、豊富な資金力と高度なデータ分析を組み合わせ、毎年のように優勝を争うチームを築き上げた。

 しかし近年、毎年ポストシーズンを勝ち上がれるチームを目指す過程で編成の性格は変わっていった。巨額の資金を投じ、実績豊富なスター選手を次々と獲得する。一方で若い選手の活躍の場は限られていく。

 その結果、ワールドシリーズ2連覇を達成した。しかし、3連覇を目指した今季は、ブルワーズに4連敗という完敗を喫した。

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