【MLB】大谷翔平をもっと早く休ませるべきだったのか? 二刀流で3連覇に挑んだ代償と30代での新たな挑戦
約2カ月ぶりの本塁打を放ったものの、2026年のシーズンを終えた大谷翔平 photo by Getty Images
【ベテラン記者が疑問を呈した夏以降の起用法】
大谷翔平はバットを放り投げ、雄叫びを上げた。10月15日(日本時間16日)、ドジャースタジアムで行なわれたミルウォーキー・ブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第4戦。2回2死一、二塁で放った右中間への3ランは、8月18日以来、出場26試合、116打席ぶりの本塁打だった。
スタンドは歓喜に包まれた。しかし、その興奮は長く続かなかった。4点を先制したロサンゼルス・ドジャースは6回に逆転を許し、7回1死三塁、一打同点の場面で大谷は空振り三振。チームは最終的に4対6で敗れ、対戦成績0勝4敗で敗退し、ワールドシリーズ3連覇への挑戦は幕を閉じた。
試合後、大谷は「本当に悔しい思いというか、気持ちが今はそれだけかな」と語った。久しぶりの本塁打についても「結局、あの一本ぐらいだったんで」と振り返った。
今季の大谷は左膝と右上腕二頭筋の故障に苦しみ、シーズン終盤には負傷者リスト(IL)入り。ポストシーズンでも本来の打撃を取り戻せず、投手として登板することもできなかった。スポーツメディア『ジ・アスレチック』のジェイソン・スターク記者によれば、8月19日からNLCS第2戦までの24試合、106打席で打率.156、長打率.200、OPS.483。本塁打はなく、打点はわずか1だった。4度のMVPに輝いた大谷にとって、異例の長期不振だった。
その大谷をめぐり、アメリカのメディアではドジャースの管理方法を問う声が強まっていた。『カリフォルニア・ポスト』紙のディラン・ヘルナンデス記者は10月15日付の記事で、ドジャースが大谷の起用を誤ったと厳しく批判した。
同記者は、大谷の二刀流への挑戦を支援したこと自体は間違いではなかったとしている。球団は契約時から、投打の両方でプレーすることが大谷の野球選手としてのアイデンティティーであると理解していた。左膝に不安を抱えながら投手としてのプレーを模索したことも、合理的な判断だったと認めている。問題はオールスター前後からだったという。
右腕と左膝の問題が打撃にも影響していることが明らかになり始めたにもかかわらず、球団は大谷を止めなかった。本人が望むままにプレーを続けさせ、9月にIL入りした時には、ポストシーズンまでに十分回復する時間が残されていなかった。ヘルナンデス記者は、球団がもっと早く介入すべきだったと主張している。
確かに結果から見れば、もっと早く休ませて故障の回復を優先させるべきだったという意見には説得力がある。万全ではない大谷を起用し続けたことが、10月の戦いに悪影響を及ぼした可能性は否定できない。しかし、7月や8月に休養を取っていれば、10月には本来の打撃を取り戻せていたのだろうか。それは誰にもわからない。
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著者プロフィール
奥田秀樹 (おくだ・ひでき)
1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

