【MLB】大谷翔平をもっと早く休ませるべきだったのか? 二刀流で3連覇に挑んだ代償と30代での新たな挑戦 (2ページ目)
【今季の結果は二刀流継続への問題提起】
そもそも、大谷翔平という選手のキャリアは、野球界の常識への挑戦の連続である。投手と打者の両立は身体への負担が大きすぎる、どちらかに専念したほうが成功する可能性は高い。そうした従来の考え方を覆し、大谷はメジャーリーグで誰も見たことのない領域を切り開いてきた。2024年には史上初の50本塁打、50盗塁を達成。翌2025年には自己最多の55本塁打を放った。そして2026年は、投手としても本格的に復帰し、二刀流でワールドシリーズ3連覇を成し遂げようとしていた。
大谷の挑戦は、もはやひとりの選手の記録への挑戦にとどまらない。世界中のファンが投打でどこまで進化するのかを楽しみにし、その一挙手一投足に熱狂する。今のMLBにおいて、大谷の二刀流そのものが最大級のエンターテインメントになっている。そしてドジャースも、その挑戦を支えることで特別な球団になった。ただし、そこには難しさもある。
大谷の意思を尊重し、限界への挑戦を支援することは、必ずしも本人の長期的な健康やチームの勝利にとって最善とは限らない。一方で、故障のリスクを避けることばかり考えれば、大谷が持つ特別な可能性を制限してしまう。ドジャースにとって、大谷のような選手を擁することは諸刃の剣なのである。だからこそ、今季の挑戦を結果だけで失敗だったと断じることには違和感が残る。
大谷は二刀流で3連覇を目指し、球団もその挑戦を支えた。結果は伴わなかったが、その挑戦自体に価値がなかったわけではない。ただし、挑戦を尊重することと、故障への対応が適切だったかを検証することは別問題だ。ヘルナンデス記者の批判は、来季以降の二刀流を考えるうえで重要な問題提起でもある。
興味深いのは、大谷自身が今回の不振をどう受け止めているかだ。ブルワーズに2連敗して迎えた10月13日の移動日。練習前の会見で、故障が打撃に及ぼした影響について問われると、「なぜと言われると実力だからというしかないんですけど」と答えた。そして、故障を抱えたままプレーを続けると、知らず知らずのうちに動きに癖がついてしまうことがあると説明。「痛みを取る方向なのか、動きを改善する方向なのか、やり方はいろいろあるのかなと思っています」と語った。つまり、故障による痛みが治まっても、その間に変化した打撃動作が元に戻るとは限らない。身体の回復と打撃技術の修正は別の問題であり、大谷はその難しさを感じていたのだろう。
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