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【ドラフト2026】奥川恭伸と並ぶ逸材だった「紀州の剛腕」の今 3年間の空白を乗り越え、25歳で最速157キロの衝撃

  • 菊地高弘●文 text by Takahiro Kikuchi

── 落合秀市が最速157キロをマークしたらしい。

 その情報を耳にして、私はすぐさま所属先のハヤテベンチャーズ静岡に取材を申し込んだ。

 落合はかつて「紀州の剛腕」と呼ばれ、高校時代には同世代の奥川恭伸(ヤクルト)と匹敵する逸材と評された右腕だ。

 だが、落合も今年7月に25歳になった。ドラフト会議で指名を受けやすい「適齢期」は過ぎたと言っていい。野球に取り組む姿勢に幼さがあり、約3年にわたって野球界から離れた時期もある。

 それでも、和歌山東高時代から落合の潜在能力に魅力を感じたひとりとして、25歳の落合に会っておきたかった。大器は遅い春を迎えつつあるのか。私はハヤテの本拠地であるちゅ〜るスタジアム清水(静岡)へと急いだ。

8月の試合で自己最速となる157キロをマークした落合秀市 photo by Takahiro Kikuchi8月の試合で自己最速となる157キロをマークした落合秀市 photo by Takahiro Kikuchiこの記事に関連する写真を見る

【3年の空白が変えた野球への思い】

「わざわざ来てくれたんですか?」

 久しぶりに再会した落合は、うれしそうな顔で迎えてくれた。高校時代は表情に翳(かげ)りが見えたが、3年のブランクを経て復帰した一昨年くらいから表情が和らいだ印象がある。

 2024年は高知ファイティングドッグス(四国アイランドリーグplus)でプレーし、昨季はハヤテに移籍した。しかし、NPBのウエスタン・リーグ(当時)では19登板で防御率6.92という成績に終わった。

 じつはこの時、落合は右ヒジに痛みを抱えていたという。落合は「言い訳になっちゃうんですけど」と前置きをして、内情を明かした。

「高知の時は『3年のブランクがあるから、甘くないよな』と思いつつ、どこかしら自信があったんです。次の年こそ......と思って静岡に来たんですけど、最初から最後までずっとヒジが痛くて。尺骨神経によくないところがあって、去年はずっと右手が痺れていました。70キロ台だった握力が30キロまで落ちてしまって......」

 かつての落合なら、この時点でそっと野球人生に幕を下ろしたに違いない。実際に関西独立リーグの球団でプレーした5年前は、「完全に野球から気持ちが切れた」と、20歳の若さでユニホームを脱いでいる。

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