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大谷翔平がスーパースターの地位を確立しても、なぜMLBで二刀流選手が出てこないのか?  (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Hideki Okuda

【二刀流でドラフトされたエルドリッジの場合】

 しかし現実は違った。2021年から2025年までの5年間で、二刀流選手としてドラフト指名された選手は22人いた。だが、その多くはプロ入り後に投手か打者のどちらかに専念している。サンフランシスコ・ジャイアンツのブライス・エルドリッジは打者を選び、カンザスシティ・ロイヤルズのジャック・カグリオーンも投手を断念した。ニューヨーク・メッツのノーラン・マクリーンは逆に打者をあきらめ、投手としての道を進んでいる。

 なぜ二刀流を目指した若者たちは、プロに入ると二刀流を続けられないのか。その答えを探るため、私はエルドリッジ本人に話を聞いた。

 5月13日、エルドリッジはジャイアンツの一員としてドジャースタジアムを訪れていた。試合開始までまだ5時間近くある午後2時半、特打ちを終え、ダグアウトのベンチに腰掛けた。身長201センチ、体重113キロ。体格だけを見れば圧倒的な存在感だが、その表情にはまだ21歳らしい初々しさも残っていた。私は率直に尋ねた。プロ入り前、本当に二刀流を続けたいと思っていたのか。

 返ってきた答えに迷いはなかった。

「ええ、もちろんです。100%やりたかったです。ドラフト前から、それが自分の望みだと各球団にも伝えていました」

 そう言った後、少し言葉を選ぶように続けた。

「ただ、実際にプロへ入って契約すると、いろいろなことが変わります。球団が『これが君にとって最善だ』と考えるなら、それに従うのが選手です。だから振り返ると、二刀流を試す機会があればよかったなとは思います」

 私はさらに尋ねた。二刀流に憧れたのは、大谷の存在があったからなのか。エルドリッジは即座に答えた。

「100%そうです。僕が二刀流を志したのは、大谷がやっていたからです。最高レベルでそれをやり、あれだけの契約も手にした。選手なら誰だって魅力を感じます。誰だって大谷のようになりたいし、しかも彼は、二刀流が可能だと証明しました」

 さらにこう付け加えた。

「もちろん、実際にそれをやっているのは、今でも彼だけです。でも彼は子供たちに夢を与えています。投げて打ちたいと思う多くの若い選手たちにとって、本当に大きな存在です」

 興味深いのは、エルドリッジが二刀流をあきらめた理由だった。才能が足りなかったからではない。高校時代は最速97マイル(156.1キロ)を記録し、多くのスカウトから打者以上に投手として高く評価されていた。だがプロ1年目は肩の違和感もあり、野手として31試合に出場した。その過程で球団は将来性を見極め、打者専念を決断した。もっとも現在のエルドリッジは、その判断が間違っていなかったことを証明しつつある。ジャイアンツの将来を担う若手として期待に応えている。

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