大谷翔平が今季MVPを受賞すればDH専任選手として史上初、歴代2位タイの3度目に 現地記者の評価は? (2ページ目)
【MVP投票でジャッジが大谷を圧倒したワケ】
2021年に大谷が二刀流で、満票でア・リーグMVPを獲得しながら、翌2022年も同じく二刀流でWARでは前年の8点から9.2点と数字をアップさせながら、2票しか1位票を集められなかったのもストーリーが原因だった。
2022年、大谷に投票したふたりのうちの一人、『ジ・アスレチック』のエンゼルス担当サム・ブラム記者は、次のように力説した。
「投手としても打者としても、MLBのトップレベルでフルシーズン活躍。野球の長い歴史の中でベーブ・ルースも含め、こんな例は他にない。2021年よりも良かった」
しかしながらロサンゼルス以外の人にとっては、その大活躍も1年前と同じストーリーでしかなかった。一方でニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジは62本塁打をかっ飛ばし、ヤンキースの大先輩ロジャー・マリスのア・リーグ記録を61年ぶりに塗り替えた。その記録は1927年のルースの60本を破ったもので、1961年当時全米で注目された大事件だった。
ESPNシカゴのジェシー・ロジャース記者は「マリスの記録を破ったことに加え、みんながホームランを打てなかった投高打低の年に、ア・リーグで2位のマイク・トラウトの40本に22本差をつけた。三冠王に近かったし、出塁率も長打率も両リーグを通じて1位。打撃成績でこれだけ他の打者に差を付けることは野球の歴史のなかでもなかなかない」と説明した。とはいえ、大谷に投票したブラム記者の言っていることも間違いではない。つまるところ、1位票で28対2と大差がついたのはストーリーが旬かどうかの違いだった。
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