カープ戦力外→マーリンズとマイナー契約 中村来生は「2%」の狭き門をくぐり抜けメジャー昇格を目指す (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 広島時代に190センチ、71キロだった中村には筋量を増やす余地があると、アジアンブリーズ首脳陣は判断した。オフシーズンでもあり、パフォーマンスアップと故障予防を目的に筋肥大を目指した。週5日で計5種目、1日1部位を約20セット実施した結果、2カ月で筋肉量が2キロ以上アップし、体重は78キロに。体を一回り大きくしてアメリカに渡り、アジアンブリーズで快投を見せた。

「来生は体重を10キロくらい増やせば、球速155キロぐらい投げられると思う」

 元DeNAの監督でアジアンブリーズのアレックス・ラミレスGMがそう話すように、マーリンズも伸びしろを感じている。色川CEOが代弁する。

「マーリンズのアシスタントGMを務めるオズ・オカンポは、インターナショナルFAの選手と契約して、これまで20人くらいメジャーに昇格させています。そういう意味で来生の未来を考えたとき、共通認識を持てました」

 オカンポGM補佐はヒューストン・アストロズ時代、オールスターに2度選出されたフランバー・バルデスや2022年に13勝を挙げたホセ・ウルキディ、過去2年続けて2ケタ勝利のクリスチャン・ハビエル、2022年に15勝したルイス・ガルシアらを発掘。彼らは今もアストロズに所属している。

 では、無名投手のポテンシャルをどう見極めているのだろうか。

「腕の振りの強さ、体(フレーム)の大きさ、球種の多さなどから、成長していくのではという原石を探している」

 オカンポGM補佐の挙げた要素は、中村の才能として語ったものと同じだ。

「最初に来生に目を留めたのは190センチの身長と長い手足、すばらしいストレートを持っていること。そして運動神経。体の大きさ、手足の長さを生かしてマウンドから投げ下ろす姿を見て、本当に身体能力が高いと思った。さらに、腕の振りの速さ。真っすぐの球速が伸びやすいと見てとれる。最後に真っすぐ、カーブ、スライダー、フォークという球種の多さだ」

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