カープ戦力外→マーリンズとマイナー契約 中村来生は「2%」の狭き門をくぐり抜けメジャー昇格を目指す (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

「だったらメジャーリーグ30球団しかない、というのが僕の考えでした。アジアンブリーズではそれなりにいいピッチングをしてくれていたし、成績と動画も残っているので売り込みにいける球団に全部当たろうと」

 中村は2024年春、アジアンブリーズに参加して6試合で6回無失点、4奪三振と好投した。色川GMが続ける。

「来生は今、90マイル(=約145キロ)しか出ないけど、(1分間換算で)2400回転と質の高いストレートを投げます。身長190センチでピッチングフォームはスムーズだし、真っすぐでカウントをとれる。フォークで空振りをとれるレベルまでいけば、メジャーに昇格する可能性は大いにある。3〜5年かかるかもしれないけど、交渉当時まだ20歳だったので、メジャーの球団には『来生を君たちの育成プログラムに入れてくれ』と話しました」

 そうして興味を示し、契約に至ったのがマーリンズだ。

【2カ月のトレーニングで明らかな変化】

 広島を戦力外となってからマーリンズと契約するまでに、明らかに変わったことがある。それは中村の体つきである。

 アメリカで野球をしたいとアジアンブリーズへの参加を決めると、2024年の渡米までの間、色川氏がGMを務める茨城アストロプラネッツの施設でトレーニングに励んだ。廃校を活用した同球団の施設には豊富な器具が揃うことに加え、昨季までフィールドコーディネーターを務めた松坂賢氏(今季からアメリカ独立リーグ球団のコーチに)を中心に、アメリカ式のウエイトトレーニングで強化するノウハウがある。

「カープでやっていたウエイトよりきつかったです」

 2カ月間、朝7時に始まる週5日のトレーニングを中村は振り返った。

「カープでは決まった重量で回数をやることが多かったけど、アストロプラネッツでトレーニングをさせてもらった時は、重い重量を扱うトレーニングが多くて力がつきました。重量が上がっていくたびに自分の成長を感じられ、すごくいい期間だったと思います」

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