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山本由伸を本気で獲りに行ったヤンキースは「2番手」ですらなかった 「悪の帝国」の異名も過去のもの (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke

【先発投手陣は迫力不足】

 ヤンキースの投手陣は、昨季15勝、防御率2.63の好成績を残して初のサイ・ヤング賞を獲得したゲリット・コールが大黒柱として君臨するが、2番手以降の先発投手の補強が急務だった。

 山本を逃した後で、"代役"として獲得されたストローマンも好投手ではある。身長173cmと小柄ながら、2019年以降は4シーズンで防御率4点以下(コロナ禍で開幕が遅れた2020年は不参加を表明)。カブスでプレーした昨季も最初の20戦で防御率2.96、オールスターにも出場した投手と2年3700万ドルという"お買い得"の契約を結べたことは大きい。

「ニューヨークやヤンキースでのプレーを避ける選手もいるけど、僕はスポットライトやプレッシャーを怖がるタイプではない。むしろ最高の力が出る」

 現地時間1月18日、リモートで行なわれた会見でストローマンはそう意気込みを語った。ただ、ストローマンはすでに32歳で、これ以上の伸びしろがある投手ではない。

 実は、2019年オフにFAになった際、ニューヨーク出身のストローマンはヤンキース行きを希望したが、ヤンキースのフロントは興味を示さかったという。当時、他ならぬキャッシュマンGMが「(ストローマンが入団しても)ポストシーズンでは先発ではなく、ブルペン行きだろう」と酷評したことが大きな話題になった。

 それから3年。あらためてそのストローマンを獲得しなければいけなかったところに、ヤンキースの台所事情の厳しさが見て取れる。

 コール、ストローマン、移籍1年目の昨季は防御率6.85に終わったカルロス・ロドン 、昨季はケガによって8月5日以降は登板できなかったネスター・コルテスという先発投手陣で、ハイレベルなア・リーグ東地区で戦い抜けるのか。アーロン・ジャッジ、ソトを中心とする打線が強化されても、自信を持ってヤンキースを優勝候補に挙げるのは難しい、というのが正直なところだ。

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