「この先、野球を続けるのはしんどいな」と考えていた西田陸浮がなぜホワイトソックスから11巡目でドラフト指名されるまでに至ったのか (3ページ目)

  • 白鳥純一●取材・文text by Shiratori Junichi

【アメリカの大学でのトレーニング】

――アメリカでの練習についてのお話がありましたが、日米のトレーニングにはどのような違いがありますか?

根本:練習時間の上限が決められていて、短い時間で効率を重視したプログラムが組まれている点が大きな違いです。

西田:アメリカでは、基礎体力のトレーニングと実践練習を別のものとして捉えている印象を受けました。実践練習は毎日2、3時間くらいでしたが、練習している様子が4方向からカメラで撮られていて、練習後にその映像を見ながら課題を修正していく感じでした。試合の時も、ベンチの裏に相手チームのデータ資料が貼り出されていて、データを基に配球や守備のポジショニングを考えていたので、戦術面でも大きな違いを感じました。

――西田選手が感じたアメリカで野球をする魅力は?

西田:選手がレベル別に分けられていて、実力がまだついていない選手も試合に出られるところでしょうか。日本の強豪校では部員が100人以上いるところもあって、試合のメンバーから外れた選手は、誰も見ていないグラウンドでボール回しやキャッチボールをすることもある。

 そうではなくて、レベル分けされた選手同士の試合であればプレーできる選手も増えるでしょうし、きっと個々の選手の成長にも繋がるはず。試合に出ながら成長できる環境は魅力的だと感じました。

――日本との違いを感じたことはありますか?

西田:選手の基礎体力や身体能力には大きな違いがありましたね。僕は日本で、自分よりも足が速い選手に会ったことがありませんでしたが、アメリカに行くとチームで3、4番目くらいのタイムでした。あと、身長2mを超える投手が160キロ超のボールを投げてくることも珍しくありません。

 その点で「最初は苦戦するだろうな」とも思っていましたけど、メンタルの強さには自信がありましたし、走塁や守備など自分の強みを生かせたら「何とかなるんじゃないか」という手応えも、徐々に感じるようになりました。

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