吉田正尚「楽しい......うーん」オリックス時代とメジャー1年目の違いを明かす (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

【8月はやや低調でベンチスタートも】

 もっとも、この日の試合後、クラブハウスでの吉田は手放しで喜んでいたわけではなかった。もともと勝っても負けてもそれほど表情が変わらず、活躍した後でも常に反省点を述べるタイプの選手。特に現在のレッドソックスはワイルドカード最終枠3番目のチームに3ゲーム差(8月20日終了時点)と、プレーオフ争いの真っ只中にいることも緊張感に拍車をかけている。

「引き続き落とせない(ゲームが続く)と思いますので、勝っていくしかない。前半に比べると打線が少し落ちてきた。やっぱり全員がいい状態はなかなか難しいと思いますので、みんなでカバーできたらと思います」

 そうやって先を見据えた吉田も、絶好調で打ち続けてきたわけではない。7月25日のブレーブス戦で3安打した時点では、打率.320とア・リーグ首位打者争いでトップに立ったものの、8月は打率.239、1本塁打とやや低調。特に内野ゴロが増えたことが首脳陣に懸念され、8月15、16日、敵地でのワシントン・ナショナルズ戦では2試合連続でベンチスタートとなった。

 プレーオフ争いの最中、主力打者を休ませるのは難しい判断だったはずだが、アレックス・コーラ監督はこう説明している。

「私たちは彼のために気を配らなければいけない。何か悪いところがあるわけではないが、今は休ませている。彼とも話し、私たちの意図を伝えたよ。吉田をリセットし、リチャージしようとしているんだ」

 メジャー1年目の吉田が対応しなければいけないのは、162試合を戦うハードスケジュールだけではない。ハイレベルな投手陣、日本人投手よりも総じて速い速球、高めに広いストライクゾーンなどへのアジャストメントも簡単ではない。全30球団のMLBは、チーム数もNPB(12球団)の倍以上。各投手との対戦準備もより難しくなる。

「日本の時だったらある程度イメージしながら、逆算しながら、次のピッチャーもイメージしながらできる。今は1日1日が必死。『このピッチャーはどう打とうか』とか、新たに出てくるピッチャーをまた見てっていう感じです」

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