大谷翔平のMVPはほぼ確実、「三冠王」に輝く可能性は? 打率は「伏兵」、本塁打と打点は「トラウトの復帰」次第 (3ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki
  • photo by Getty Images

【MVP獲得はほぼ間違いなく...】

 こんな例がある。

 マーク・マグワイアが1997年に記録した58本塁打は、両リーグでもっとも多かった。この年の本塁打王は、ア・リーグが56本塁打のケン・グリフィーJr.、ナ・リーグは49本塁打のラリー・ウォーカーだ。マグワイアはア・リーグのオークランド・アスレチックスで34本のホームランを打ったのち、ナ・リーグのセントルイス・カージナルスへ移って24本を積み上げた。

 とはいえ、現時点において、エンゼルスが大谷を放出する可能性は「皆無ではない」といった程度だろう。ワイルドカードの3番手との差は5ゲームだ。2021年のカージナルスは、前半戦を終えてワイルドカードの3番手に7.5ゲーム離されていた。しかしそこから巻き返し、ワイルドカードをゲットした。

 エンゼルスが後半戦に入ってからも負け続け、やむなく大谷を手放すにしても、トレードの相手がア・リーグの球団であれば、2チームの合計スタッツでタイトル獲得はあり得る。

 投手としては、7勝がア・リーグ12位タイ、防御率3.32が13位、132奪三振は3位。こちらのタイトル獲得は、少し難しそうだ。勝ち星は菊池雄星(ブルージェイズ)らと並び、奪三振は1位のケビン・ゴーズマン(ブルージェイズ)より21少ない。

 一方、これらのタイトルと違い、2年ぶり2度目のレギュラーシーズンMVPはナ・リーグの球団へ移らないかぎり、まず間違いなく受賞しそうだ。

 たとえば、こう考えてみてはどうだろうか。

 選手の評価を、シーズン全体が10点満点で、前半戦と後半戦の配分を5点ずつとした場合、前半戦の大谷はどんなに少なく見積もっても8点以上になるだろう。前半戦の満点は5点という前提だが、大谷に限っては野手と投手の二刀流なので、それを超えることがあり得る。

 前半戦の大谷は10点(5点+5点)あるいは9点(5点+4点)と評価することもできるが、DHは守備につかず、防御率はトップ10に入っていないことを踏まえると、野手としても投手としても、それぞれ5点ではなく4点という見方もできよう。

 前半戦を8点とすると、後半戦が野手と投手を合わせて3点にとどまったとしても、シーズン全体では11点となる。ほかの選手は前半戦も後半戦も5点でも、トータルは10点だ。大谷を上回ることはできない。

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