吉田正尚のメジャー1年目「合格ライン」は? レッドソックス伝統のレフトを守る外野手のノルマは「出塁率.350・15本塁打」 (4ページ目)
【怒りの矛先が吉田に向く?】
それ以外にも、すでにレッドソックスの動きはファンの間で不興を買っている。
これまで遊撃を守っていたザンダー・ボガーツは、6年1億2000万ドル(約157億円)の3年目を終えたところで契約をオプトアウト(途中で打ち切り)し、11年2億8000万ドル(約368億円)でサンディエゴ・パドレスに迎えられた。オプトアウトの前にレッドソックスは延長契約の交渉を行なっていたが、『ニューヨーク・ポスト』のジョン・ヘイマンによると提示は4年9000万ドル(約119億円)程度だったという。
先月、オーナーのジョン・ヘンリーと編成責任者のハイム・ブルームはそれぞれ別の場所でファンからブーイングを浴びせられた。それだけが理由ではないが、ボガーツを引き留めるべきだったという意味だろう。
吉田が不振に陥り、さらにレッドソックスが低迷したなら、その矛先は吉田にも向きかねない。三塁手のラファエル・デバースとは2024年から始まる10年3億1350万ドル(約412億円)の延長契約を交わしたが、新加入の選手のなかでは吉田の契約金額が最も大きく、ほかの選手の合計額を上回る。
ボガーツの過去5シーズンの成績を見ると、出塁率は.360を超え、短縮シーズンの2020年を含めても平均21.0本のホームランを打っている。昨年は出塁率.377、15本塁打を記録した。ポジションは違うものの、去っていった大物とやってきた大物という点からすると、吉田がレッドソックスのファンを満足させるには、昨年のボガーツと同水準の成績が必要かもしれない。
著者プロフィール
宇根夏樹 (うね・なつき)
ベースボール・ライター。1968年生まれ。三重県出身。MLB専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランス。著書『MLB人類学──名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
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