吉田正尚のメジャー1年目「合格ライン」は? レッドソックス伝統のレフトを守る外野手のノルマは「出塁率.350・15本塁打」
オリックス・バファローズで7年間プレーし、昨年オフにポスティングシステムを利用してメジャー挑戦を表明した吉田正尚は、今シーズンからボストン・レッドソックスでプレーする。
新たなホームとなるフェンウェイ・パークでは、レフトにそびえ立つ「グリーン・モンスター」を背にして守ることになるだろう。これまで吉田がホームとしてきた京セラドーム大阪も、フェンスは4.2メートルと低くなかったが、グリーン・モンスターはその2倍以上だ。約11メートルの高さがある。
吉田正尚は2月下旬にキャンプインする予定この記事に関連する写真を見る これまで、グリーン・モンスターの前を定位置としてきたレッドソックスの選手のうち、テッド・ウィリアムズ(レッドソックス在籍=1939年〜1942年、1946年〜1960年)、カール・ヤストレムスキー(1961年〜1983年)、ジム・ライス(1974年〜1989年)の3人は殿堂入りしている。
2001年から2008年の夏までレフトを守っていたマニー・ラミレスも、実績は彼らに引けを取らない。2009年の薬物違反がなければ、間違いなく殿堂入りしているはずだ。
もっとも、常に名選手がレフトにいたわけではなく、流動的な時期が続いたこともある。近年は特にそうだ。夏のトレードでラミレスを放出した2008年から昨年までの15シーズン中、ひとりの選手がレフトで100試合以上に先発出場したのは、3分の1の5シーズンしかない。
2009年にジェイソン・ベイが150試合、2011年にカール・クロフォードが126試合。そして、2017〜2019年にアンドルー・ベニンテンディ(現シカゴ・ホワイトソックス)がそれぞれ116試合と123試合と128試合だ。
吉田の加入に伴い、レフトからライトへ移るアレックス・バーデューゴの場合、レフトとしての先発出場が100試合に達したシーズンはなかった。2021年が79試合、2022年は98試合だ。
今世紀に入ってから、レッドソックスで数シーズンにわたってほぼ"不動のレフト"だったのは、ラミレスとベニンテンディのふたり、ということになる。
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著者プロフィール
宇根夏樹 (うね・なつき)
ベースボール・ライター。1968年生まれ。三重県出身。MLB専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランス。著書『MLB人類学──名言・迷言・妄言集』(彩流社)。