吉田正尚のメジャー1年目「合格ライン」は? レッドソックス伝統のレフトを守る外野手のノルマは「出塁率.350・15本塁打」 (2ページ目)
【打率は低くても構わない】
同じポジションであっても、ラミレスに匹敵する成績を吉田に望むのは、さすがに無理があるだろう。2001〜2007年の7シーズンに、ラミレスは打率.313、出塁率.412、シーズン平均36.3本塁打(計254本)、OPS1.006を記録した。どのシーズンも打率.290と出塁率.385を下回ったことはなく、2007年をのぞく6シーズンは30本塁打を超えた。
オリックス時代の吉田は、初めて規定打席に達した2018年から昨年までの5シーズンとも打率.320、出塁率.400、OPS.955をいずれも上回った。とはいえ、これは日本プロ野球で記録した成績だ。また、吉田は30本塁打以上のシーズンがなく、2019年の29本塁打が最多。そもそも、ラミレスの成績はほとんどの選手にとって極めて高いハードルだ。
一方、2017年〜2019年のベニンテンディは打率.300以上が一度もなく、ホームランは2017年の20本が最も多かった。3シーズンの出塁率は.352→.366→.343、OPSは.776→.830→.774と推移している。この3シーズンのトータルは打率.276、出塁率.354、シーズン平均16.3本塁打(計49本)、OPS.794だ。
よって、吉田がそれと同水準の成績「出塁率.350、15本塁打、OPS.800」あたりを記録すれば、まずは合格ラインをクリアしたと言えるのではないだろうか。
打率は低くても構わない。打率と出塁率のうち、重要なのは出塁率のほうだ。ちなみに、WBCで吉田とともにプレーするラーズ・ヌートバー(セントルイス・カージナルス)は昨年、打率.228にもかかわらず、出塁率.340を記録している。
当時のベニンテンディと遜色ない成績なら、メジャー1年目であっても吉田が記録する可能性は十分にありそうだ。打率が低いヌートバーと違い、吉田は塁に出る主な手段、打撃の技術と選球眼のどちらも備えている。
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