藤浪晋太郎との契約はアスレチックスの「時間稼ぎ」と現地記者。MLB挑戦を歓迎も「もう1年阪神で頑張ってもよかった」 (2ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by Kyodo News

 こう話すのは、『スポーツ・イラストレイテッド』系列『ジャイアンツ・ベースボール・インサイダー』のマーク・デルッチ記者。同記者は、ジャイアンツが藤浪獲得に積極的にならなかった理由について、「ジャイアンツは、先発ではロス・ストリップリングとショーン・マナエアを、リリーフではテイラー・ロジャースとルーク・ジャクソンと契約ができたので、藤浪の獲得が難しくなったのでしょうね」と分析する。

 そうしてスポットが埋まったあとでも、ジャイアンツのロースターに空きがあれば、年俸が安ければ獲得する可能性があったのか。その質問に、デルッチ記者は「それはないです。たとえ(藤浪の)契約金が安くてもそんな契約はしないでしょう。新たに誰かをトレードで出さない限り、再びスポットが空くことはない。そんなことになれば驚きですよ」ときっぱりと否定した。

 これはあくまでジャイアンツの話だが、他球団も同じような事情があったのかもしれない。

 結局、藤浪のMLB移籍は無事に実現したわけだが、アスレチックスへの入団は現地でも驚きの声が上がっている。アスレチックスの専門メディア『ホワイト・クリート・ビート』のデビッド・ヒル記者は、「補強にあまりお金をかけたがらないアスレチックスが、藤浪と契約したのは驚きだ」と率直な感想を述べた。

 移籍先のアスレチックスは、昨季はア・リーグ西地区の最下位。再建途上のチームではあるが、ヒル記者が指摘したように補強には"超"消極的だ。にもかかわらず、アスレチックスは藤浪に対して、1年契約ではあるがチーム5番目の高額年俸という破格の好条件を提示している。アスレチックスが藤浪に大きな期待を寄せているのは明らかだが、ヒル記者は違う見方をしている。

「アスレチックスには、ケン・ウォルディチャックやカイル・ミュラーなど、将来の先発候補になっているプロスペクト投手(有望な若手投手)が何人もいます。しかし、藤浪のような投手を1年契約で加えれば、若手が成長するまでの"時間稼ぎ"ができます」

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