藤浪晋太郎との契約はアスレチックスの「時間稼ぎ」と現地記者。MLB挑戦を歓迎も「もう1年阪神で頑張ってもよかった」 (3ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by Kyodo News

 アスレチックスはチームとして"穴だらけ"のため、新シーズンも70勝に届くか怪しいと見ているようだが、ヒル記者曰く「藤浪の獲得は、あくまで若手成長までの一時しのぎだ」という。それでも大きな補強であることは間違いないなく、「藤浪の加入で、チームが少しよくなることに期待をしている」と話す。

 ここまでの話を聞く限り、アスレチックスは藤浪にとってあまりいい環境ではなさそうだが、藤浪からすると今回の契約はどうだったのか。ヒル記者は、「正直、契約は1年早かったと思う」と見解を口にした。

「彼はアスレチックスで好投することで、もっといい契約を手に入れることに賭けたのでしょう。でも、もう1年、阪神で頑張ってもよかったと思います。日本で制球難の問題が解決していることをアピールすれば、もっといい契約を得られたはずです」

 ただしヒル記者は、藤浪がMLBに挑戦すること自体には賛成のようだ。

「2015年頃からずっと藤浪を見てきましたが、彼は周囲の期待に応えようとしすぎたように思います。例えば、大谷と比較されていたことも、相当なプレッシャーになっていたでしょうね。大谷は"ユニコーン"であり、世代を超えた才能の持ち主。そんな大谷と同じように、と周囲からプレッシャーをかけられてうまくいきませんでした。

 また、この数年は監督やチームが彼を信じているようには見えず、彼も自信を喪失していたように感じました。しかし、現段階の期待度が低いアメリカでなら、逆にプレッシャーを感じることなく、自分らしく、持ち前の才能を発揮できるのではないでしょうか。今回の移籍は、藤浪にとってプラスになると思います」

 見方を変えれば、藤浪にとって"穴だらけ"のアスレチックスは理想的なチームになるかもしれない。例えば起用法でも、あらゆるチャンスが生まれる。ヒル記者は「藤浪はリリーフ向きだ」と話すが、現地では「先発ローテーションに入る」という予想も出ている。

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