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なぜ9イニング制? コーチャーズボックスの意外な起源は? など。つい話したくなる野球豆知識5選 (4ページ目)

  • 小林 悟●取材・文 text by Kobayashi Satoru
  • photo by Kyodo News

 柔剣道のあいさつの礼式を取り入れたもので、これによって野球の品位を示し、野球を守ろうとしたのだという。実は当時、「野球害悪論」を唱える識者が一定数いた。1911年7月から8月にかけ、東京朝日新聞に「野球は日本男児にふさわしくない」という論調の連載まであった。

「イギリス留学経験があり、ラグビーを推奨していた新渡戸稲造は野球害悪論者として有名でした。たとえ、ぶつかって傷を負おうと、前進していくマチズモ(男っぽさ)あふれるラグビーに比べ、野球は次の塁を狙うためにきょろきょろ相手の隙をうかがったり、サインを盗んだり、巾着切りで立派な男児が行なうものではないと言っていました。また、学習院長だった乃木希典は、野球部の選手が対外試合に熱中して学業をおろそかにするのはけしからん、学生にとっては必要のない運動だと主張していました。こうした逆風のなか、野球は健全で楽しいスポーツであるということをなんとか世の中に伝えようと、両チームがあいさつを始めたのです」

<プロフィール>
鈴村裕輔 すずむら・ゆうすけ 
1976年、東京都生まれ。名城大学学国語学部准教授、法政大学客員研究員、野球史研究家。比較思想、政治史、文化研究を主な専門とする研究者でありながら、野球文化の研究者やマスコミ関係者らでつくる「野球文化學會」会長を務め、野球の歴史・文化に精通する。
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