2020.07.23

イチロー「奇跡の60試合」。
メジャー短縮シーズンでその偉業に再注目

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by AFLO

 メジャーリーグは通常6カ月にわたり162試合が行なわれるが、今シーズンは新型コロナウイルスの影響により7月23日(現地時間)に開幕し、試合数も60試合に短縮される。この異例のシーズンが開幕するにあたって、全米の野球ファンの間で話題になっているのが、どんな偉業が達成されるかということだ。

 たとえば、ニューヨーク・ヤンキースのジョー・ディマジオが持つ56試合連続安打の記録を抜いて史上初めて全試合でヒットを打つ選手の誕生や、1941年に打率.406をマークしたボストン・レッドソックスのテッド・ウィリアムス以来となる4割打者の誕生など、さまざまな可能性について語られている。

 それとは別に新聞やサイトなどでは”60試合限定”で、これまですごい数字を残した選手たちを紹介している。

 たとえば、1982年にシーズン130盗塁のメジャー記録を達成したオークランド・アスレチックスのリッキー・ヘンダーソンは、ある時期からの60試合で63盗塁を成功させたとか、2001年にシーズン73本塁打を放ったサンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ボンズは、4月12日からの60試合で35本のホームランを量産したとか、2008年に当時36歳だったアトランタ・ブレーブスのチッパー・ジョーンズは、開幕からの60試合で打率.409をマークしたとか(この年、最終的に打率.364で初の首位打者を獲得)など、60試合で達成された偉大な成績が記されていた。

2004年、メジャー記録となるシーズン262安打を達成したイチロー そしてある記事は、シーズン262安打を放ち、82年ぶりにメジャー記録を塗り替えた2004年のイチローを紹介。シーズン最終戦までの60試合で109安打を放ち、それが歴史的な大記録につながったと書いてあった。

 たしかに、ジョージ・シスラーが持つシーズン257安打の記録に近づくと、イチローはプレッシャーを感じるどころか、ヒットを量産していった。しかしこの年、じつはこれよりもすごい”60試合”があった。

 7月1日から9月5日までの60試合で、イチローが出場したのは59試合。この間、イチローは260打数119安打(打率.458)という驚異的なペースでヒットを積み重ねていったのだ。