あれから10年。フィリーズ世界一メンバーが
今も田口壮に感謝していること

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

 メジャー通算225セーブを挙げた名ストッパーのブラッド・リッジが始球式を務め、かつて人気を博した外野手のジェイソン・ワースはマスコットのカートに乗りながら、記念のTシャツをスタンドに投げ入れていた。

 138年におよぶ球団の歴史で、フィラデルフィア・フリーズがワールドチャンピオンになったのは、たった2回しかない。その2度目となった2008年の世界一から10周年を祝う記念セレモニーが先日行なわれ、42,343人ものファンが足を運んだ。

2008年、いぶし銀の活躍でフィリーズの世界一に貢献した田口壮2008年、いぶし銀の活躍でフィリーズの世界一に貢献した田口壮 2008年に48本塁打を放ったライアン・ハワード、47盗塁のジミー・ロリンズ、45歳で16勝をマークしたジェイミー・モイヤー、そして指揮を執っていたチャーリー・マニエルの姿もあった。

 当時のメンバーのほとんどが参加したが、なかには来られない人もいた。そのうちのひとりが、田口壮だった。だが、誰ひとりとして彼のことを忘れている者はいなかった。

 田口と同じ外野陣のひとりだったシェーン・ビクトリーノは、当時の田口の貢献度について面白く語ってくれた。

「まず、ソウ(田口)のすごいところは、世界一の足揉み機を持っていることだ。私も何回か使わせてもらったけど、本当にすばらしい。私の健康を大きく支えてくれたよ(笑)」

 控え内野手だったグレッグ・ダブスも同感だった。

「ソウといえば、足揉み機のことを思い出すなぁ。最初は遠くから興味深く見ていたんだけど、ある日『使ってもいいか』と聞いたら、『もちろん』と答えてくれてね。それ以降、私をはじめ、カイル(ヘンドリックス/投手)、ジミー(ロリンズ/内野手)、シェーン(ビクトリーノ)といった具合に、みんな使い始めました。ソウから、体のケアについての重要性や筋肉をほぐしておく大切さを教えてもらったよ」

 田口は2002年から6シーズン、セントルイス・カージナルスでプレーしたあと、2008年フィリーズにやって来た。当時、野手では最年長となる38歳の時だった。

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