2018.09.12

常勝より成長を選んで正解。
大谷翔平は「一刀流」でもドキドキさせる

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Image

 2018年のMLBシーズンも終盤に入り、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平が打者としての”本領発揮”を感じさせるペースで打ち続けている。

 9月10日(日本時間11日)まで8試合連続でヒットを放ち、その間は打率4割4分8厘(29打数13安打)。3日〜9日までの1週間では打率4割7分4厘、4本塁打、10打点の成績を残し、自身2度目のア・リーグ週間MVPに輝いた。

打撃だけでなく、走力でも存在感を放つ大谷 再び右肘靭帯の不安が発覚した直後の9月5日に17号、18号ホームランを放って周囲の度肝を抜くと、7日には19号と量産体制に突入。今季はまだ約20戦を残しているが、すでに松井秀喜、城島健司を抜き、日本人の1年目として最多のホームランを記録したことも話題になっている。

 また、ただ打つだけでなく、ベースランニングのレベルの高さも示してきた。9月9日のシカゴ・ホワイトソックス戦では8回に右中間にヒットを放つと、果敢な走塁で二塁をおとしいれるスピードとセンスのよさを示した。その後、2死からの三盗こそ失敗したものの、投打だけでなく走力のレベルも高いことに、シカゴのファンは感心したことだろう。

「彼は大丈夫。走塁に問題を抱えていなかった。あの三盗では(相手捕手の)送球がよかっただけ。求めていた結果は得られなかったが、その直前の二塁打でも、彼はとてもよく走っていた」

 前日のゲーム中に、ホームでの接触プレーで右足を痛めていたことが心配されたが、エンジェルスのマイク・ソーシア監督は軽症を強調していた。実際に10日のレンジャーズ戦でも三盗に成功し、周囲の不安を一蹴した。

 この規格外のルーキーに、ソーシア監督は”グリーンライト(いつでも盗塁を試みていい許可)”を与えているという。つまりスピードだけでなく、状況判断力も信頼されているということ。今さらだが、本当にとてつもない能力を秘めた24歳である。

 これほど打者としての能力が高いのだから、「打者に集中した方がいい」という声が出てくるのも当然に思える。

 開幕前後の一部の評価に反し、少なくとも現状での大谷は投手としてよりも打者としての完成度が高い。打撃練習でファンの度肝を抜く圧巻のパワーだけでなく、適応能力も抜群。オープン戦での絶不調からすぐに脱し、最近では苦手としていた左投手も克服し始めている。