「1億ドル男」ダルビッシュが、カブスから課せられた最低ノルマは? (4ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 リグレーフィールドというのはメジャーで2番目に古く、グラウンドが狭くてホームランが出やすい球場です。昨年27本ものホームランを打たれているダルビッシュ投手にとって、本拠地での1発は警戒しないといけないでしょう。

 ただ、そのような性質の本拠地だからこそ、カブスはダルビッシュ投手のような豪腕タイプを獲得したのだと思います。三振をどんどん奪ってバッターをねじ伏せることができないと、軟投派ピッチャーではスタンドまでボールを簡単に持っていかれるからです。

 19世紀から続くカブスの長い歴史を振り返ると、意外と豪腕ピッチャーは出現していません。戦後に入ってカブスで奪三振王となったのは、1946年のジョニー・シュミッツ、1955年&1956年のサム・ジョーンズ、1969年のファーガソン・ジェンキンス、2003年のケリー・ウッドの4人だけです。

 豪腕ピッチャーの不在も、カブスが長く勝てなかった要因のひとつだと思います。近年のカブスが強くなったのは、レスターやアリエッタなど豪腕タイプが増えてきたからではないでしょうか。そのような背景もあったので、カブスはダルビッシュ投手を手に入れたかったのでしょう。

 そしてもうひとつ、ダルビッシュを獲得した理由として注目したいデータがあります。それは、ダルビッシュ投手がデーゲームで好成績を収めている点です。デーゲームの成績が通算15勝10敗・防御率2.87に対し、ナイトゲームは41勝32敗・防御率3.62。勝率・防御率ともに大きな開きがあるのです。

 リグレーフィールドはもともとナイター設備のなかった球場で、試合は常にデーゲームでした。1988年に照明設備が整いましたが、周囲の住民の反対もあって他球団と比べて圧倒的にナイトゲームは少ないのです。そのような状況も、ダルビッシュ投手にとってメリットとなるのではないでしょうか。

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プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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