「1億ドル男」ダルビッシュが、
カブスから課せられた最低ノルマは?
メジャーリーグのキャンプがようやく幕を開け、全米各所で賑わいを見せています。滞っていた移籍市場も徐々に動き出し、これから開幕に向けて新たな選手補強も加速していくでしょう。
ダルビッシュの肩にのしかかるファンの期待は大きい その先陣を切るように、FA市場の目玉だったダルビッシュ有投手は2月13日、シカゴ・カブスと6年総額1億2600万ドル(約137億円)で契約しました。カブスが球団史上4人目の「1億ドル契約」を提示したのは、その期待の表れだと思います。もちろん、ダルビッシュ投手もそれに見合う成績を残さなければなりません。
今季のダルビッシュ投手は最低ラインとして、どのくらいの数字をマークしなければならないのか――。ひと言でいうと、エースのジョン・レスターをしのぐような活躍を求められるでしょう。
カブスは過去3年間、毎年プレーオフに進出しています。2016年には108年ぶりの世界一に輝き、昨年も2年連続でナ・リーグ中地区を制覇。今、まさに黄金期を迎えているのです。
この3年間を振り返ると、エースのレスターをしのぐ活躍を見せるピッチャーが毎年いました。2015年、レスターはカブスと6年総額1億5500万ドル(当時・約185億円)の大型契約でオークランド・アスレチックスから移籍。いきなり開幕投手を務め、最終的に11勝12敗・防御率3.34・207奪三振という成績を残しました。
その年、レスター以上の成績を残したのが先発2番手のジェイク・アリエッタです。メジャートップの22勝(6敗)、ナ・リーグ2位の防御率1.77、同3位の236奪三振をマーク。レスターの数字をいずれも上回り、初のサイ・ヤング賞にも輝きました。
2016年、レスターの成績は19勝5敗・防御率2.44・197奪三振。これもすごい数字ですが、このシーズンはメジャー3年目のカイル・ヘンドリックスが台頭し、16勝8敗・防御率2.13・170奪三振をマークして最優秀防御率のタイトルを奪取しました。また、同年のアリエッタは18勝8敗・防御率3.10・190奪三振で、こちらもレスターに迫る数字を残しています。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)