市場価格に注目。大谷翔平の
ベースボールカードは投資対象になるか?
多くのファンから注目を集めた大谷翔平のメジャーリーグ移籍。野球ファンだけではなく、スポーツカードを愛する者たちもその動向に注目していた。
ロサンゼルス・エンゼルス入りの記者会見を終えた直後、早くもエンゼルスのユニフォームを身にまとい、帽子を被った大谷のカードが世に出たのだ。トップス社のウェブサイトのみの限定発売だったが、24時間で1万7323枚が売れた。ちなみにこの数字は、TOPPS NOWシリーズ史上最多となった。
大谷翔平のメジャー移籍でスポーツカード業界も大きな盛り上がりをみせている
アメリカではスポーツカードの市場はまだ活発で、その理由のひとつとして、投資の対象になることが挙げられる。
スポーツカードの市場価格を1枚1枚明記する『ベケット』と呼ばれる雑誌が毎月販売されており、前月に比べて価格が高騰したのか、下落したのかが事細かに記されている。もはや趣味の域を超えて、一種の投機としての楽しみ方が存在するのだ。
実際に、2016年にはベースボールカード史上もっとも高額な取引が行なわれた。1890年代終わりから1900年代にかけてピッツバーグ・パイレーツなどで活躍したホーナス・ワグナーのルーキーカードが312万ドル(約3億4000万円)で売買されている。
カードを売買する際に重要になるのが、どのような保存状態にあるかだ。ベースボールカードの取引で多大な金額が動くようになったため、1998年からはPSA(プロフェッショナル・スポーツ・オーセンティケータ)というカードの状態を審査する第三者機関が創設された。以来、価値の高いカードは透明なケースに保管され、審査の結果、採点されたスコアが明記されるようになった。
"大物選手"と契約するための争奪戦は用具メーカーやスポンサーだけでなく、スポーツカード会社も同様だ。選手たちの写真をカードに利用する肖像権はMLB選手会がカード会社と契約しているが、選手の直筆サイン入りカードなどを販売するために個人との契約もできる。
そして大谷との長期契約に成功したのがトップス社だった。はたして、大谷のルーキーカードにどれだけの値がつけられるのかも気になるところだ。
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