2度の炎上と交代遅れ。あらためてWシリーズのダルビッシュを考える (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 今シリーズ中、「レギュラーシーズンとは違う、滑りやすいボールが使われている」という疑惑を、スポーツ・イラストレイテッド誌が報じた。投手にとっては不利であることを、アストロズの先発陣の大黒柱であるジャスティン・バーランダーをはじめとする投手たちが公言。ワールドシリーズ史上最多となる25本のホームランが乱れ飛んだこともあって、使用球の件は大きな関心を集めた。

 この疑惑について、現時点であらためて検証するのは容易ではないし、ダルビッシュも結果が悪かった直後にそれについて触れられたくはないはずだ。ただ、「滑りやすい」と伝えられボールが、スライダーが最大の武器である31歳の右腕に大きな不利をもたらしていたとしても不思議はない。

「(捕手は)最後も3-2からスライダーをコールしたが、今日のスライダーのクオリティだと同じことになると思って、真っすぐを選んだ。今の自分の状態ではスプリンガー(を討ち取るのは)は難しかった」

 スプリンガーに決定的な一発を許したことについて語ったダルビッシュのコメントは、すべてを指し示しているように思える。

 この場面以外でも、3、7戦ともに上質な変化球でストライクが取れないため、置きにいった真っ直ぐを狙い打たれた印象があった。スライダーを主な武器とする投手としては厳しかったが、もちろん"条件は他の投手も同じ"と言ってしまえばそれまで。「自分の引き出しが足りなかった」というダルビッシュの言葉からは、普段通りの決め球が投げられず、それをカバーする武器も見つけられなかったことへの悔恨が感じられた。

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