2度の炎上と交代遅れ。あらためてWシリーズのダルビッシュを考える (4ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

「(ダルビッシュ続投を)後悔していないよ。スプリンガーのホームランと(マーウィン・)ゴンサレスの二塁打以外、強い打球は打たれておらず、あとはエラー、盗塁、バットの芯を外れたゴロだった。これが第7戦というのはわかっているが、彼の持ち球自体はよかったと感じていたんだ」

 リリーフのブランドン・モローに準備をさせながら、ダルビッシュを続投させたことをロバーツ監督はそう説明している。

 しかし、初回にユリエスキ・グリエルに13球も粘られ(最終的には右飛)、2回先頭のマッキャンを追い込んでから歩かせた打席などから、危険信号は灯っていた。もともとダルビッシュは、スプリンガーにはシーズン中も18打数6安打、2本塁打と相性が悪い。ワールドシリーズでの3度の対戦でも中越え二塁打、痛烈な二塁ライナー、左翼線二塁打と全打席できれいに捉えられていただけに、続投はリスクが大きすぎたと言えるのではないか。

 シーズン、プレーオフを通じて早めの継投を貫いてきた45歳の監督が、ここでは動きの遅さを指摘されても仕方あるまい。案の定、スプリンガーはカウント3-2からの勢いのない真っ直ぐを左中間に叩き込む。この47球目がダルビッシュにとって今回のワールドシリーズでの最後の1球になり、同時に冒頭のカーショウの言葉通り、大事なゲームの流れも完全に定まってしまった。

 ダルビッシュの後には、カーショウ、アレックス・ウッド、ケンリー・ジャンセンが控えており、このゲームだけは後先のことを考える必要はなかった。それだけに......明らかに不調だったダルビッシュを引っ張りすぎた判断が、ドジャース、ダルビッシュに失意の結果をもたらしたことが残念でならない。

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