2度の炎上と交代遅れ。あらためてWシリーズのダルビッシュを考える (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 第7戦のあと、地元メディアの中では「ダルビッシュではなくカーショウを先発させるべきだった」という声も聞かれた。3番手で登場したカーショウは、中2日ながら4イニングを投げて2安打零封。これだけ長く投げさせるのなら、ドジャースの象徴的な存在である大エースに最初からすべてを託すべきだったという主張だ。

 だがこれは、敗戦直後によく見られる結果論にすぎない。カーショウにしても第5戦では4回3分の2を投げて6失点と乱調だったし、中2日で臨んだ第7戦ではやはり4〜5イニングが精一杯。いずれにしてもこの日はどこかでダルビッシュの力が必要だった。

 ただ......ダルビッシュの先発自体は間違いではなかったとしても、デイブ・ロバーツ監督の投手交代のタイミングには突っ込みどころがあるように思える。

 前述の通り、原因はどうあれ、今シリーズ中の背番号21は本調子からはほど遠かった。そして、ひとつのミスも許されないゲームである第7戦では、失点を覚悟して先発のペースが上がるのを待つ余裕はなかったはずだ。

 エラー絡みながら初回に2失点した時点で、もうリミットに近かった。続く2回に先頭のブライアン・マッキャンを歩かせたところで、ダルビッシュを諦めたとしても早すぎたとは思わない。その後に1点追加され、なおも2死3塁で絶好調のスプリンガーを迎えた時点に至っては、交代が当然と考えたのは筆者だけではなかっただろう。

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