日米150勝に王手の田中将大。ケガの功名で秋のヒーローになるか (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

「(本塁打にならなかったのは)運じゃないですかね。(ラミレスへは)甘く入ったボールだったし、そのバッターの状態もあるだろうし......」

 
 田中は試合後にそう述べたが、一方で、自身の状態が上向いていることも認めていた。調子がよければ制球ミスは減り、球に勢いやキレが戻れば、多少の失投も致命傷にはならない。もちろん、打者有利のヤンキースタジアムでは長打に警戒が必要なことに変わりはないが、前半戦の不振の要因だった"一発病"が克服できてきていることは大きい。

「田中は、過去数年にわたって投手陣を引っ張ってくれてきた投手。私たちは彼が必要だった。調子を取り戻し、いい投球をしてくれている」

 目を細めてそう語ったジョー・ジラルディ監督も田中の復調に手応えを感じているようだ。8月12日に田中のDL入りが発表された直後、この時期の休養が"ケガの功名"になるかもしれないと考えた関係者は少なくなかった。直近の3試合を見る限り、彼らの予想通り、田中のサマー・ブレイクはポジティブな効果を発揮しているように見える。

 この上昇気流に乗る過程で、田中は多くのマイルストーンに到達している。メジャー通算100試合登板を飾った前戦で、日本人投手としては初となる、デビューから4年連続の二桁勝利を達成。また、2日のレッドソックス戦では日本人最速のメジャー通算50勝に到達し、日米通算150勝にも王手をかけた。

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