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オールスター史上初。
10年前の「イチロー伝説」を覚えているか? (5ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 マウンドに立つのは、当時パドレスの長身投手クリス・ヤング。ワンアウト・ランナー一塁という場面でした。イチロー選手はヤングの投じた初球、89マイル(約143キロ)の内角低めのストレートを見事にライトに打ち返したのです。

 打った瞬間はホームランかと思いました。僕は三塁側の観客席から観ていたので、打球の距離が測りづらかったのですが、ライトフェンスを越えて場外の海に飛び込むスプラッシュヒットになるかと思ったほどです。ただ、AT&Tパークはメジャー屈指の打球が飛ばない球場なので、イチロー選手の打球はライトフェンス直撃となりました。

 そのライトを守っていたのは、当時シンシナティ・レッズに所属していたケン・グリフィー・ジュニア。ライト方向のフェンスはいびつな形をしているため、打球は意外な方向に跳ね返り、ケン・グリフィーも対応が遅れてしまいました。その間にイチロー選手は自慢のスピードを生かし、一気にダイヤモンドを一周したのです。

 オールスターゲーム史上初の出来事を目の当たりにしたとき、思い出したのは1983年の50周年記念大会の出来事でした。シカゴのコミスキー・パークで開催されたその球宴で、当時ボストン・レッドソックスでプレーしていたフレッド・リンが史上初の満塁ホームランを放ったのです。

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