3000安打は通過点。イチローも伝説の「アンチエイジング選手」に
メジャーリーグでプレーするバッターたちにとって、「通算3000安打」というのは夢の大記録です。そして夢を叶えた一流プレーヤーの多くは、達成したその年に引退を決意してユニフォームを脱いでいきます。それほど3000安打を達成することは非常に困難な道のりであり、最終目標として現役生活を続けてきたからでしょう。
メジャー16年目で通算3000安打を達成したイチロー しかしそんななかにあって、3000安打を達成したあとも、それはあくまで通過点としてプレーを続けるバッターはいました。彼らは衰えることを知らない、まさに「アンチエイジング」なプレーヤーです。
メジャーの歴史を古い順から振り返ってみると、まずはタイ・カッブを挙げなければなりません。1905年からデトロイト・タイガースなどで24年間プレーし、歴代1位の終身打率.367を誇る「球聖」は、1921年8月19日に当時34歳で3000安打を達成しました。
1920年代はベーブ・ルースの出現によって、すでに「ホームランバッターの時代」が到来していました。その影響により、カッブの持ち味である小技を効かせた野球スタイルは隅に追いやられ、不遇の時代を迎えていたのです。しかしながら、カッブはプレーイングマネジャーという立場になりながらも現役を続けてヒットを積み重ね、メジャー17年目で3000安打を達成したあとも引退を決意することなく、結果的にその後7年もプレーし続けました。
1 / 5
プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)