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福島良一が選ぶ「2014年メジャーリーグ10大ニュース」

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

2014年メジャーリーグ10大ニュース@前編

 2014年シーズンは、サンフランシスコ・ジャイアンツが世界一に輝き、幕を下ろしました。3月下旬に開幕してから7ヶ月間、今年も様々な出来事がありました。そこで、2014年のメジャーリーグで印象に残った事柄を、2回に渡って10大ニュースとして振り返りたいと思います。

長年に渡ってメジャーリーグを統括してきたバド・セリグ・コミッショナー長年に渡ってメジャーリーグを統括してきたバド・セリグ・コミッショナー【第10位】 バド・セリグ・コミッショナー、最後の年

 1992年、第8代コミッショナーのフェイ・ヴィンセントの辞任に伴い、当時ミルウォーキー・ブルワーズのオーナーだったバド・セリグがコミッショナー代理となりました(1998年に正式就任)。そこから長期に渡り、セリグは数々の実績を残していきました。

 セリグが最初に行なったのは、リーグの再編とポストシーズンの改革でした。1994年、両リーグを東地区・中地区・西地区の3地区制に変更し、それに伴いディビジョンシリーズを導入して、新しいプレイオフ制度を確立したのです。

 しかし、その直後、セリグにいきなりの難題が振りかかってきます。それは、1994年8月から1995年4月にかけて起きた、アメリカプロスポーツ史上最長となる232日間のストライキです。その結果、1994年のワールドシリーズも中止となり、多くの野球ファンが離れていきました。そこで、人気回復を図るためにセリグは、さらに大胆な改革を行なっていきました。

 まず、1997年から両リーグの交流戦「インターリーグ」をスタートさせ、2002年には戦力均衡策として収益分配制度(※1)や課徴金制度(※2)を導入。さらに2003年からは、オールスターゲームに勝利したリーグにワールドシリーズのアドバンテージ(本拠地開催優先権)を与えることにしました。その一方で、セリグは選手への薬物検査を厳格化し、メジャーに蔓延していた負のイメージを払拭。また、2008年にはビデオ判定を試み、野球の歴史に大きな変化を加えました。

(※1)MLBの収益分配制度は2種類あり、ひとつは各チームの純収入に課税し、集められた課税金を各チームに均等の分配する方法。もうひとつは収入の高いチームに課税して、収入の低いチームに再配分する方法。
(※2)「サラリーキャップ制度」とも言い、球団側が選手に支払う年俸総額が一定を超えた場合、超過分に課徴金を課す制度。

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著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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