【MLB】近年まれに見る選手大移動。今オフの勝ち組は?
各球団のGMや監督、そして選手の代理人が集った今年のMLBウィンターミーティングは、ひさびさに面白い動きを見せてくれました。12件のトレードが成立し、合計79人もの選手が移籍したのです。近年のウィンターミーティングはあまり動きがなく、非常に静かなものでした。しかし、今年は近年まれにみる「選手の大移動」だったと感じます。メジャーリーグの公式サイトでも、「長い歴史の中でも最大規模の活発なミーティングだった」と報じられました。そこで今回は、今オフの移籍市場で成功を収めたチームをピックアップしたいと思います。
数多くのオファーの中からシカゴ・カブスを選んだジョン・レスター まず、今回のウィンターミーティングで最も大きな話題をさらったのは、今季73勝89敗でナ・リーグ中地区最下位に終わったシカゴ・カブスです。カブスはFA市場で目玉投手のひとり、通算116勝の先発左腕ジョン・レスター(16勝11敗・防御率2.46)の獲得に成功しました。契約内容は、球団史上最高額となる6年総額1億5500万ドル(約183億円)。その巨額契約にも大いに驚かされました。
レスターはボストン・レッドソックス時代に2度世界一に輝き、特にワールドシリーズでの勝負強さは有名です。通算3勝0敗・防御率0.43と、ワールドシリーズでは圧倒的な数字を残しています。古巣のレッドソックスを筆頭に、資金力のあるロサンゼルス・ドジャースやサンフランシスコ・ジャイアンツも獲得に動きましたが、それらのオファーを蹴ってカブスを選びました。1908年以来、世界一から遠ざかっている古豪で「歴史を作りたい」と、レスターは移籍の理由を語っています。
またカブスは、このウィンターミーティング期間中にアリゾナ・ダイヤモンドバックスからミゲル・モンテロ(打率.243・13本塁打・72打点)という強打のキャッチャーを獲得。さらに、先発のジェイソン・ハメル(10勝11敗・防御率3.47)との再契約も果たし、早くも来季の戦力アップに成功しています。
1 / 5
著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)