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【MLB】崖っぷちのヤンキース。
ジーター不在で試される「ピンストライプ」の誇り (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • ロイター/アフロ●写真 photo by REUTERS/AFLO

 ボーン・ルーズという症状を調べてみた。足首の関節に必要な隙間がなくなり、骨と骨がぶつかり合うことで痛みが生じてしまうのだそうだ。

 運動量が多く、俊敏な動きを求められる遊撃手のポジションを長く守ってきたことも足首の関節に負担をかけてきた一因であろうが、ここまで3304もの安打を生み出してきた彼の打撃スタイルも左足首を痛めつける要因となった。

 ジーターのバッティングは体の内側から絞り込むようにしてバットを出すが、その際、左足のつま先は決して開かない。つまり回転運動の強烈な負荷が左足首にかかっているのだ。だが、ジーターも38歳。18年間の代償は勤続疲労となって現れた。足首の関節の骨がぶつかり合い、ついには骨折となった。何もこの時期に......。

 現地10月14日の第2戦。ジーターは検査のため、球場に姿を現さなかった。ジラルディ監督は、「左足首の骨折以外にダメージは見受けられないが、さらに詳細な検査をする」と話し、第3戦からのデトロイト遠征は帯同しないことが発表された。

 イチローにジーター離脱について聞くと、「聞きたい気持ちはわかるけど、そんなこと言う必要があるかな」と。つまり、察してほしいということだ。また、タイガースとの第2戦で5回までパーフェクトの好投も援護なく敗れた黒田は、「彼は大好きなプレイヤー。人間的にも尊敬できる」と語った上で、ナインの気持ちを代弁するかのように続けた。

「すごくショックだけれど、彼に頼ってばかりもいられない。今いるメンバーでやるしかない。ジーターがいないからといって、負けていいということではない」

 ヤンキースナインにとって、ジーターはベンチにいるだけで大きな支えとなる。ジーターとヤンキースナインが次に顔を合わせることができるのは第6戦以降。そのためには少なくとも敵地で2勝しなくてはならない。

 ポストシーズン最大の窮地に立たされたヤンキース。リーダー不在の中、ピンストライプのユニフォームを着る真価が問われる時が来た。ヤンキースナインの底力に期待したい。

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