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【MLB】ヤンキース、3年ぶりの世界一奪回へ。カギを握るのは「2番・イチロー」 (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 レンジャーズ、オリオールズ、アスレチックスと、どれも手強い相手ばかりですが、個人的に一番怖いチームはタイガースだと思います。なぜならば、タイガースには三振の奪える絶対的エース、ジャスティン・バーランダー(17勝8敗・防御率2.64)がいるからです。昨年、ア・リーグのMVPとサイ・ヤング賞をダブル受賞しましたが、今年も劣らない活躍ぶり。リーグ4位タイの勝ち星、リーグ2位の防御率、そしてリーグ1位の奪三振(239個)をマークしています。また、9月には5勝1敗・防御率1.93で、月間最優秀投手にも選ばれました。

 短期決戦で一番怖れられるのは、豪腕タイプのピッチャーです。バットにボールがかすりもしないと、チームのモチベーションは一気に下がってしまいます。よって、バーランダーのような三振の取れる豪腕投手が、ポストシーズンではさらに威力を発揮するのです。また、2番手のマックス・シャーザー(16勝7敗・防御率3.74)もリーグ2位の231奪三振を記録しており、タイガースは実に恐ろしい豪腕投手をふたりも擁しています。

 それに加え、タイガースの最強3番・4番コンビも見逃せません。メジャー45年ぶりの三冠王に輝いたミゲル・カブレラ(打率.330・44本塁打・139打点)と、今シーズン移籍してきたプリンス・フィルダー(打率.313・30本塁打・108打点)です。この投打ともに強力なタイガースを、ヤンキースはどうやって攻略するのでしょうか。

 ヤンキースがア・リーグの並み居る強豪を倒してワールドシリーズに進出するために、カギとなるのはイチロー選手(打率.283・9本塁打・55打点・29盗塁)だと思います。移籍当初は下位打順でしたが、シーズン終盤になってジョー・ジラルディ監督は2番に起用しました。その理由は、ふたつあると思います。ひとつは、本来の調子を取り戻して高い出塁率を残しているから。そしてもうひとつは、プレイオフを勝ち上がるために、イチロー選手のスピードが不可欠だからです。

 短期決戦では、パワーヒッターよりも小技の効くバッターのほうが、相手にとって脅威となります。今シーズン、主に2番を任されていたカーティス・グランダーソンはホームランを43本打っていますが、三振も195個喫しています。三振の多いバッターよりも、バットに当てるのがうまく、何でもできるイチロー選手のほうが、相手チームは嫌がります。よってヤンキースがワールドシリーズに進出するか否かは、『2番・イチロー』の活躍次第といってもいいでしょう。自身初のワールドシリーズに向けて、イチロー選手のプレイにぜひ注目してください。

※記録はレギュラーシーズン終了時

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