【MLB】ヤンキースを牽引するベテラン、イチローとジーターの距離

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by AP/AFLO

好調を続けるヤンキースにあって、ジーターとイチローのベテランふたりの働きも大きい好調を続けるヤンキースにあって、ジーターとイチローのベテランふたりの働きも大きい イチローがブルージェイズとのダブルヘッダーで1日7安打を放った現地9月19日。デレク・ジーターは自身8度目となるシーズン200安打を達成した。歴史的スーパースターを数多く輩出してきたヤンキースにおいて、8度目の200安打は"鉄人"ルー・ゲーリッグと並ぶ球団記録だそうだ。

 だが、200安打といえばイチローの代名詞。一昨年まで10年連続で達成してきたこだわりの記録である。だからイチローに、「ジーターの8度目の200安打についてどう思うか」聞いてみると、次のような答えが返ってきた。

「早く僕に追いついてほしいですね(笑)」

 茶目っ気たっぷりに笑顔で答えたイチローならではのジョークとも受け取れるが、そのコメントからは彼なりのプライドも十分に感じとることができる。21世紀最大のスーパースターと言われているジーターに対し、冗談まじりでコメントできる選手は多くない。イチローにとってジーターは良きライバルであると同時に、野球人として尊敬しあえる仲間でもあるのだ。

 ライバルとして戦っていたころは、よくセカンドベース上で会話を交わしている姿を見かけたが、イチローがヤンキースに来てからはさらに距離が近くなったように思う。練習中もジーターはしょっちゅうイチローにちょっかいを出すなど、ふたりの間には笑顔が絶えない。移籍後初の三塁打を放った時は、直前に「三塁打頼むぜ!」とイチローに無茶ぶり。最近の大活躍には、「何でそんなに簡単にヒットが打てるんだ?」と感心しきり。ジーターも10年連続で200安打を達成した男の偉大さを、同じチームになってあらためて感じているのだ。

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