【MLB】ヤンキースがイチロー獲得を急いだ理由とは?
名門ヤンキースのユニフォームを身にまとったイチロー。目指すは悲願の世界一だ 長年メジャーリーグを追いかけていて、これほどビックリしたのは初めてのことだと思います。それほど、シアトル・マリナーズのイチロー選手がニューヨーク・ヤンキースに移籍するというニュースは、僕にとって衝撃的なものでした。
しかも、まるで映画のシナリオのような展開です。本拠地セーフコ・フィールドにヤンキースを迎える直前に発表され、これまで応援してくれた地元シアトルのファンに感謝の気持ちと別れを告げ、そして27日からの週末3連戦はヤンキースタジアムでのボストン・レッドソックス戦となります。新天地でのホーム初戦が伝統の一戦になるとは、なんというタイミングでしょう。
イチロー選手の移籍は非常に驚きましたが、冷静に考えると、ヤンキースにとって価値の高いトレードだったと思います。なぜならば今シーズンのヤンキースの戦力を分析すると、パワーは十分過ぎるほどあるのですが、例年に比べてスピード面での数字が落ちているからです。
最大の原因は、昨年ア・リーグの盗塁王に輝いたブレット・ガードナーの離脱です。右ひじのケガが原因で今季わずか9試合の出場に止まり、この時期になってシーズン絶望であることが判明しました。ヤンキースは毎年、メジャートップクラスの得点力を誇っていましたが、今シーズンはテキサス・レンジャーズやレッドソックスに引き離され、リーグ4位という成績です。
ホームランに頼り、機動力で点を奪えていないのが、得点力低下の要因のひとつでしょう。昨年はリーグ3位のチーム盗塁数を記録していましたが、今年は現在リーグ11位。明らかにペースが落ちています。
1 / 4
プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)