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【高校野球】幻のスクイズ、そして言えなかった「春夏連覇」 大阪桐蔭の主将・黒川虎雅、コーチの肉声で追う敗戦の全貌 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Shiro Tanigami

 選抜では4番に座り、豪快な一発を放っただけでなく、試合を決めるバスターエンドランも成功させるなど、「新時代の4番」を感じさせる働きを見せた。しかし春の大阪大会では、「野球人生で一番というくらいバッティングがわからなくなって......」と不振に苦しんだ。それでも夏を前に、「自分のバットで勝ちたいです」と決意をこめて語っていた。

「2対0と2対1じゃ全然違う。4番、5番で点を取れんかったら、相手も乗ってくる。まず1点や」

 橋本の言葉が途切れた直後、セカンドベース寄りへ弾んだ打球が、二塁手の横を抜けてセンター前へ転がる。待望の1点が入った。

【快投でつないだ逆転への望み】

 そして7回表から、大阪桐蔭は小川蒼介をマウンドへ送り出す。春の大阪大会では1試合17奪三振、秋田での招待試合ではノーヒットノーランも達成した。選抜以降も安定して好調を維持してきた左腕だ。

 小川は9回までの3イニングを1安打5奪三振。力のあるストレートとマウンド上の佇まいには、どこか川本晴大を思わせるものがあった。

 その小川の好投に応えるように、7回裏、ついに追いつく。「新チームでは1番から3番を打っていてもおかしくない」と橋本が期待する2年生の8番・宮?球児、9番・中島齊志、1番・仲原慶二の3人が仕事をした。

 一死から宮?が出ると、打席には中島。再び橋本が「ここでエンドランいきたいなぁ。外野も下がってるし、一、三塁をつくれるかも」と言った。その声に合わせるように宮?がスタートすると、中島の打球はライト前で弾んだ。

「よっしゃ! 桐蔭野球、来た〜!」

 一死一、三塁となり、1番・仲原。ここで中島が二盗に成功。一死二、三塁から、仲原が放った打球はピッチャーのグラブを弾き同点。

 ついに試合を振り出しに戻した大阪桐蔭だったが、その後のチャンスは生かせず同点止まり。その後、8回、9回にも得点圏にランナーを進めたが、あと1本が出ない。流れを引き寄せ切れないまま、試合は延長10回のタイブレークへ突入した。

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