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【高校野球】「選抜はごまかしの優勝でした」春の王者・大阪桐蔭の夏はなぜわずか3試合で終わったのか 西谷監督が見つめていた現実 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Shiro Tanigami

「根性というよりド根性です」

 大会開幕直前、西谷が口にしたこの言葉は、川本の離脱を受けた指揮官の本音だったのだろう。川本を欠いたチームが夏を勝ち上がるためには、やはり吉岡の状態が最大のカギを握る。順調なら、プロ志望届を提出すればドラフト上位候補に挙がっても不思議ではない逸材。吉岡が本来の力を取り戻せるかどうかが、大阪桐蔭の命運を左右すると見ていた。

 5回コールドで勝利した初戦の汎愛戦(7月15日)のあと、登板のなかった吉岡に話を聞いた。6月下旬の取材時よりも表情は明るく、状態のよさをうかがわせていた。

 私のなかで、吉岡のベストピッチと言えば、2年秋の大阪大会準決勝の金光大阪戦である。2安打完封、14奪三振、無四球。球速はしばしば150キロを超え、鋭く曲がるスライダーに、金光大阪の打者たちもバットに当てるのが精いっぱいだった。

 だからその後、吉岡に状態を尋ねる時はいつも「金光戦と比べてどう?」と聞いてきた。

 弱音を吐かない吉岡は、コンディションが万全ではなかった選抜の時でさえ、「近い感じです」「同じくらいです」と答えていた。ただ、その言葉は少し割り引いて受け止めていた。吉岡の表情を見れば、同じくらいではないことはすぐにわかったからだ。

 しかし今回、また同じ質問をすると、吉岡はニヤリと笑って「あの時よりもいい感じです」と言った。

 本来なら、これ以上ない追い風となるはずだった。その一方で、吉岡が普通に好投するだけでは足りないとも思っていた。

【勝ち上がるための絶対条件】

 近年の大阪桐蔭は接戦を落とすことが増え、以前のような他を寄せつけないな強さに陰りが見え始めていたからだ。その流れを変えるには、投手が圧倒的なピッチングをするしかない。事実、選抜では川本が圧倒的なピッチングを見せ、味方に安心感と自信を与えた。

 だが川本を欠く夏、チームを勝たせる投球を吉岡ができるかどうか。それこそが大阪桐蔭が勝ち上がるための絶対条件だった。

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