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【高校野球】「選抜はごまかしの優勝でした」春の王者・大阪桐蔭の夏はなぜわずか3試合で終わったのか 西谷監督が見つめていた現実 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Shiro Tanigami

 この「導いてやれなかった」は、チームが敗れた際、西谷が必ず口にする言葉だ。選手の責任を問うような発言は決してしない。それが、西谷が取材対応で貫いてきた揺るぎない信条なのだろう。

 1点を追う延長10回、反則打球の判定によって"幻"となった同点スクイズについての質問にも、淡々と受け答えをしていた。しかし、その落ち着いた口調とは裏腹に、悔しさややるせなさは、言葉以上に表情からひしひしと伝わってきた。

── バントは意外といえば意外......。

「満塁であまり警戒されることもないですし、まず同点にしたほうが相手にプレッシャーをかけられるかなと。1球目を空振りしたのを見て、スクイズのほうが確率は高いかなと思いました」

── (反則打球となった判定は)微妙ではありましたが。

「それは、僕らではなんとも言えないので」

 その後も西谷の口数が増えることはなく、囲み取材は早々に終わった。するとまもなく、年配の観戦者と思われる男性が、チームの戦いや采配への不満を苛立った口調で延々と叫び続けた。その声が響き渡り、ただでさえ重かった空気はいっそう張り詰めた。

 思い返せば、昨年夏の決勝で敗れたあともまったく同じ光景を目にした。そして、声を張り上げていたのも同じ人物だった。大阪桐蔭の2年連続となる夏の敗戦を、思いがけない形であらためて実感することになった。

 帰り道、スマートフォンを開くと、大阪桐蔭の敗戦を伝える速報が次々と配信されていた。見出しには「王者敗れる」の文字が並んだ。ただ、彼らはあくまで春の王者であり、夏はまだ何も成し遂げていなかった。

【最強投手陣が描いた春夏連覇への青写真】

 夏に向けて一歩ずつ階段を上っていた5月、西谷に話を聞く機会があった。日本一を成し遂げた選抜の話題になると、やや砕けた調子でこう語った。

「選抜はごまかしの優勝です。『(春夏連覇を達成した)2012年、2018年のチームと比べてどうですか?』と聞かれたりしますが、まだまだやることがいっぱいです」

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